東日本大震災から半年が過ぎ、この半年を振り返って、この未曽有の大震災から数多くのことを学んだだけではなく、逆にこの震災から我々に問いかけられた課題もあるのではないか? それは、過去の日本のモノ作りの繁栄への‘復旧’とか‘復興’ではなく、新たな仕組みの上に‘再興’し、‘復活’を図らなければならないと、多くの論説が展開されていました。
これらの論説のなかで、分り易くこれからの指針を与えてくれる記事に出会いました。それは、次に紹介する論説で、日本のモノ作りにとって、“これからのグローバリゼーションとは何か?”という各企業、業界、そこで働く企業人への問いかけから始められています。以下にその論説の趣旨を掲載し考えてみたいと思います。
常盤文克氏の;【新・日本型経営を探る】
日本復活のカギは、「グローバル」の再定義にあり
「フラット化しない世界」に生き残る条件
今回の震災では、モノ作りのサプライチェーン(供給網)が分断されました。東北地方には有力な部品メーカーの工場が集積しており、部品の供給が滞ってしまったのです。 サプライチェーンマネジメントと称し、コストと在庫の最小化、時間の短縮さらには安定供給と効率の最大化を目指してきた仕組みにとって、大震災は大きな落とし穴だったと言えます。結果として起きたモノ作りの停滞は、日本のみならず世界にまで広がりました。
震災で見えてきた世界が「つながる」意味
この事実から、世界はつながっているのだ、という現実を私たちは身をもって理解したわけです。世界は単に、海や陸を介して地理的につながっているだけではありません。
金融経済やモノ作りのサプライチェーンなど、人間のあらゆる活動がネットワーク状につながり、連鎖しています。この「世界はつながっている」という感覚こそが、「グローバルである」ということだと思います。
すなわちグローバリゼーションとは、人や企業がモノ・カネ・情報などのつながりの中でどう生きていくか、どう仕事をしていくか、このつながり自体の構造を状況に応じてどう作り直していくか──ということでもあるのです。
従来の見方は、グローバル化によって世界がフラット化して均質になり、単一化していくというものでした。経済は単一化が進んで一物一価になり、そこを人やモノ、カネが駆け巡っていく。エコノミストや大学の先生たちは、そうもっともらしく語っていたのです。ところが、今回の大震災で、過去20年言われていたグローバリゼーションとは別の方向に、いや反対の方向に物事が進んでいることに気づかされました。世界は単一化するどころか、むしろ多様化が進み、「グローカル」という言葉が生まれるほどローカルの重要性が増しています。
各国、各民族固有の文化が頭をもたげ、小さな国や地域が自己主張を強め、ナショナリズムが台頭しています。キリスト教文化圏とイスラム教文化圏の宗教間対立も鮮明になっているように感じます。
そんな時代だからこそ注目したい言葉に、「ディープ・グローバリゼーション」があります。
真のグローバルとは「ローカル」の積み重ねである
このディープ・グローバリゼーションとは、数えきれないほどある個性的な「ローカル」を組み合わせて結合したものが「グローバル」である。ローカルな活動の積み重ねがグローバルであって、グローバル化をさらに進化させるにはローカルを深耕しなければなりません。これからは、世界の市場を大雑把につかまえるのではなく、「グローカル」と言って、個々のローカルな市場を深く掘り下げていこう、ということです。
企業のマネジメントの仕組みは、これによって大きく変わります。従来、日本企業のグローバル経営では「海外事業」と呼んで自国に本社を置き、海外の国々に衛星のように支社や支店を置くというものでした。
これをディープ・グローバリゼーションの発想で考えると、本社もローカルの1つだということになります。そこで、自国の本社を含む世界中の支社を統括する別会社(グローバル本社)を置き、この統括会社のボードメンバーを各支社のトップで構成する─。すなわち、この会社をグローバル戦略の拠点としていく、発想の転換が求められています。
また、単に競争原理だけが強くならないビジネスの仕組みも重要になります。最近、「coopetition(コーオペティション)」という言葉を耳にする機会がよくあります。「cooperation(協力)」と「competition(競争)」を掛け合わせた造語で、相手と競争はするが協力もする、すなわち競争と協力を両立して仕事をする、といった意味です。 世界中の人やモノ、カネ、企業がつながっている現代では、このように競争だけに終始しない仕組みが求められます。
個性なくして企業は生き残れない
本当の意味でのグローバルを志向するのであれば、企業の規模の大小よりも、ビジネスモデルに個性があるかどうかが重要になってきます。
「つながり」の重要性を痛感させられるいま、しっかりとした個性をもって、世界と積極的に創造的なつながりを作っていくことが大事です。日本企業は世界と離れては生きていけません。 |
詳しくは、下記参照;
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110927/222830/?P=1