8月掲載の日経新聞の特集:≪新しい日本へ≫ 『復興の道筋を聞く』で、知日派の外国人の方々からのインタビュー記事が連載された。
これらの記事を引用し、語録の様な形で、私が感銘した行(くだり)を収録し、復興の道筋を考えてみたい。
記事1;日経2011.08.19 掲載インタビュー
韓国全国経済人連合会(全経連)前会長
趙錫来(チョ・ソクレ)氏 (聞き手:ソウル支局長山口真典氏)
1959年早大理工学部卒、行政暁星(ヒョソン)グループ会長
企業の意志決定 素早く
― 日本の現状をどう見ますか?
東日本の部品生産など経済活動の回復は予想より速い。しかし被災地域の復興が遅れがちだ。
日本人の冷静な対応は尊敬すべきだが、韓国の『パクリ(速く)精神』
に比べ、時間がかかり過ぎる。政策の是々非々を考えているだけでは一向に復旧が進まない。
― 日本を追い抜く韓国企業が増えました
日本企業は海外進出で出遅れたが、韓国が日本企業から学ぶべき点は多い。団結力や正確な仕事ぶり、会社への忠誠心に加え、技術力や生産性など、なかなかまねができない。ただ世界は急速に変化している。ライバル企業より先に意志決定しなければ、チャンスを逃す。韓国のトップダウン経営は時に誤るが、即決できる。日本の根回し型決定は時間がかかり過ぎるため、トップが決断できる仕組みへ変えるべきだ。
まず日韓FTA
― 日韓が手を組む例は増えるでしょうか?
最近、プラント輸出など、第三国の日韓連携が急増している。日本企業が計画づくりやファイナンスを担当し、韓国企業が建設を受けもつなど、互いの強みを生かすことで欧米企業に勝つことが出来る。
韓国と日本が主導し、欧州連合(EU)と競争できる東アジア共同体をつくるため、そのモデルになる高水準な2国間連携をつくるべきだ。日本はTPPに参加する用意があるというなら、韓中FTAは時期尚早であり、まず韓日FTAを優先すべきだと考える。
事故経験を生かせ
― 日本の「脱原発」論争、どう思うか?
原発を放棄して成長は難しい。電力不足で製造業が競争力を失い、成長軌道に戻れなくなる心配がある。想定を超えた事故、見方を変えれば貴重な経験だ。これを活用すれば、世界の安全な原発を主導できる。
― 日本の産業、どう変わるべきでしょうか?
欧米は自動車産業などを中心に急速な再編が進んだ。日本も自動車だけではなく、化学、機械、造船、電機、電力などで大胆に再編を進め、競争力を持つ強い企業をつくるべきだ。
これからは韓日の企業が競争し合うだけではなく、投資し合う必要もある。企業の協力や統合で競争力が高まれば、域外へも進出しやすくなり、消費者への良いサービスを提供することもできる。 |
記事2;日経2011.08.18 掲載インタビュー
セールスフォース・ドットコム会長
マーク・ベニオフ氏(聞き手:田中暁人氏)
1999年同社設立、企業向け‘クラウドコンピューティング’専業大手
有望ベンチャーに光を
“日本は気付いていないかも知れないが、日本は成功事例に溢れている”と、当社は現在、日本のITベンチャーへの投資を加速している。同会長が、何度も日本を訪れるうちに、この国には、素晴しい起業家がいて、有望なベンチャー企業が沢山あることに気づかれた。その大半が過小評価されている。米国人が日本のベンチャー投資の魅力を宣伝するのも奇妙だが、日本は投資機会にあふれた非常に魅力的な市場だ。
あきらめるな
― 日本ではリスクをとって起業する若者が減ったと云われます
日本の人々は失敗例にとらわれ過ぎだ。素晴らしい技術があり起業家がいて、チャンスや成功例がいくらでもあるのに、それに目を向けようとしない。まずは、成功例に目を向けることから始めたらどうか。
信頼、ネットから
― 原発事故への対応のまずさなどから世界の信頼が揺らいでいる
新しい日本は、信頼の上に築かれなければならない。自国の国民や企業からの信頼に加え、他国や外資系企業の信頼を取り戻す必要がある。
ネットを通じて世界の人々が瞬時に意見を交わせるソーシャルの時代だからこそ、信頼を最重要視すべきだ。政府がSNSなどを使って必要な情報を開示すれば、信頼関係を取り戻すことにつながる。
― シリコンバレーの経営者は、今の日本をどう見ていますか?
期待しているし、心配もしている。今こそ大きな課題にしっかり取り組んでいる姿勢を世界の政府や企業に向けて発信する必要がある。セールスフォースは全ての不具合を顧客に開示するサイトを持っている。日本政府も同様のサイトを立ち上げ、震災や原発事故のあらゆる情報を各国語に自動翻訳して開示すべきだ。 |