日本はもう一度、製造業の時代を目指せ!

今月のブログは、“日本の製造業が、これからの時代をどう乗り切るかのビジョンの構築とそれを実現していく[組織力]が問われている”を掲げ、前々回では、「組織力を高めるには?」をテーマに、組織のトップと構成員とのあり方について、従来の内向き思考から外向き思考の団結力へと改めなければならないと説いた。そして、前回は、「想定外の事態へ対処するBCPの本来のあり方は?」をテーマに、BCPをマニュアル通りに用意しておけば備え有りと考えがちであったが、今回の大震災で脆くも崩れ、BCPは固定的なものではなく、日常の組織内での危険の気づきのみならず、外部の事変にも目配りして対応策を究明し、磨きをかける‘学習進化型BCP’でなければならないことに気付かされました。
 これらは、一種の手法として有用なものであると理解すると同時に、これらを考えてきた過程で、‘日本のものづくり’はグローバル化の前提が避けられないこと、むしろ「組織力」とか「BCP」は、ますます進展するグローバル化を味方につけて強化する必要があると、気付きました。

これからの‘日本のものづくリ’は、“世界へ進出して行く”のではなく、“世界視野に立って全体最適を考える”というスタンスで、大企業、中小企業を問わず自社に合った「企業ビジョン ⇒経営力」を構築し、第一の経営の軌軸にしなければならないと思いました。
 この様な思いの中で、“世界視野に立って全体最適を考える”「経営力」とは?の真髄が覗えるインタビュー記事に出会いました。その記事を掲げ、考えてみたいと思います。

徹底予測  【日本の復興】  2011年6月15日(水)
今こそ、血みどろのシェア争いを勝ち抜け(要約)
復興に向けた提言:『日本電産の永守重信社長に聞く』
(インタビューの聞き手:日経ビジネス編集委員 田村賢司氏)

以下、永守氏のコメント(抜粋)
●これからの世界経済は「先進国vs新興国」という構図
になる。例えば、日本市場は縮小が避けられないが、新興国の市場は当面成長し続ける。だから結局、日本企業も韓国企業がやったように外へ出ていくしかない。
 とはいえ、新興国市場に入っていくのは簡単ではない。新興国では中国などのように、力をつけた地場企業が増えている。地の利があるのは地場企業で、外国から進出する企業にはリスクも多い。
そこで勝ち抜くには、まず母国でもっと企業が結びつかないといけない。M&A(合併・買収)で統合しないとダメだ。かつて、戦国大名が天下を取ろうと京都を目指す時に、国元では周辺の大名と戦ったり、同盟(統合)を結び後顧の憂いをなくしたりしたのと同じだ。

技術の過信はとても危険だ
●今の世界市場は、新興国市場が中心的位置を占めるようになり、構図が全く変わった。
多くの日本企業は、中国など新興国の企業がどんどん安いものを出してくる時代、「我々は高級品でいく」と考えて終う経営者。大企業ほどすぐにそう言う。
高価格品市場だけで生きていけるというのは、技術的過信に基づいた発想で、とても危険だ。技術だけで売れるなら新興国市場はみな先進国の製品で埋め尽くされていたはず、新興国市場を侮ってはいけない。技術的過信は、企業と国の双方を危うい方向に持っていく。
●日本は東日本大震災でサプライチェーン(供給体制)が一部毀損したが、復興過程では、安くていいモノを早く作るところから部品や部材を調達するように変わる、これは不可避の潮流だ。自由競争に完全に身を置かないと、日本企業は世界の中でもう勝てない。
●サプライヤーが減ると、サプライチェーンが脆弱になると危惧する意見もあるが、これは生産拠点の分散で対処可能だ。日本電産は世界シェア80%を握るハードディスク用のスピンドルモーターを中国、フィリピン、タイの3カ所で作っている。

強かった事業ほど変える必要が
●在庫を持たないとか、ジャスト・イン・タイムとか言い続けてきたが、そういう効率の追求だけではダメだということが、今回の震災で分かったのではないか。もちろん、チェーンの中で1つの製品のサプライヤーを2社か3社に増やすといっても、同じ地域内では意味がない。逆に1つのサプライヤーに絞っても、その会社が工場を世界に分散するか、国内で東日本と西日本といった立地を離せばよい。
●系列取引が残っているのは自動車産業ぐらい。電機はもう崩れている。安くていいものを世界から買うことになっていくだろう。
●一つ言いたいのは、過去の実績にこだわりすぎたらダメということ。
例えば、うちはハードディスク用の精密モーターで成長してきた。だが、ここにきてパソコン市場では(ハードディスクを使わない)タブレットパソコンが伸びてきた。こうした状況を見るにつけ、やはり‘ビジネスのポートフォリオ’というものは時代に応じて変えなければならないと思う。そんな変化を見極めるのが、競争を生き抜くうえで大事なことだ。市場の変化が誰にも見えるようになって対応しようとしても、技術はすぐに開発できない。
 M&Aはそんな時、時間を買う役割も果たす。だから、自社で事業を育てながら企業を変えていくことと、M&Aで時間を買うことは、今後、成長の両輪になるはずだ。
●先が見えない時代だから、経営力が問われる。
経営力ということが言われるようになったのはここ5年ぐらい。それまでは管理力という言葉はあったが、経営力という言葉はなかった。経営力を上げないとビジネスのポートフォリオを変えるのも難しい。社長交代の挨拶でしばしば「前社長の経営方針を踏襲する」という声が聞かれるが、「踏襲する」のではもうアウトだ。
 だから企業は経営者をどんどんスカウトしないといけないし、優秀な人を引っ張らないと変化についていけなくなる。そのためには、コストを惜しんではダメだ。

もう一度、製造業の時代だ
●今の世界市場では、新興国が農林水産業から製造業の時代に入り、今や先進国を脅かすまでになった。一方で先進国は製造業が衰退した後は金融を柱にするといったことが言われてきたが、そうはならなかった。殊に日本はそうだ。 日本は(人口減で)市場が縮小していく。ということは日本だけを考えていると、売り上げは減って、当然利益も減っていく。それではジリ貧だ。
●ではどうするか
といえば結局、韓国がやっているように(国を挙げて)海外に出ていくしかない。だからそれに耐えられる企業になる必要がある。
 日本企業はもう一度、世界で血みどろのシェア争いをしないといけない。低価格品は新興国企業に任せるなどと言っていたら、やがてやられる。戦い抜くというスピリッツがないとダメなのだ。


参照:上掲記事の詳細;
http://cmad.nikkeibp.co.jp/?4_110578_536595_120

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