数値流体力学から『数値経営力学』への応用-Ⅰ
先ず、先月3回のブログを総括し、今月のテーマへの導入を試みたいと思います。
先月のテーマは、これからの日本の‘ものづくり’は、製品のみにフォーカスした‘モノ売り’から‘グローバルなものづくり’へと転換し、海外拠点生産の‘モノづくりサポート・サービス’、そして製品が顧客ユーザにわたってからの ‘製品ライフサイクル・サービス’を通じて、世界各地の顧客満足度を満し、新たなニーズを発掘して、さらなる顧客満足度を高めて自社製品の顧客市場を拡大して行くという、‘サービス売り’を軸とした変革が求められています。
そして、この様なグローバルな経営戦略を支える企業経営システムは、従来の期間損益ベースの財務会計では、上記の変革にそぐわなくなっています。これからの『ものづくり会計術』は、『Time Line Costing(TLC)』であると紹介しました。しかし、このTLCを駆使して、経営に取り組む主体は財務部ではなく、ものづくりに直接携わる全ての組織と人に依存するとありました。
しかし、そうは云っても、コストばかりに注目しても、それは結果であり、現場がどう取り組むかの意識改革が進まないのではないかと、問題意識を抱くなかで、ドラッカーの記述で、“『富の創造』によって収入を得るという、意識と行動が伴わなければならない”とあるのを見つけ、先月の3回目で紹介しました。
そこで、今回は、この意識改革は分かったが、膨大な製品が、個々の顧客へ届く過程と、個々のユーザが使い始めてからライフサイクルを通じて、どの様な問題が起こったかを把握するには、膨大なデータの収集と分析を必要としている。
これも実現困難で、空論に陥りやすいのではないかと思われ、そこを解決する良い手法はないものかと、記事を探していましたところ、一つの方法論を見つけました。以下に紹介します。
宮田秀明の「経営設計学」:
数値経営力学で経営を「見える化」する ‘優れた経営のヒントがここにある’
≪要約-その1≫
| 宮田秀明氏は、30~40歳代の10年間、コンピューターを駆使して船を設計するための「デジタル流体力学」という分野の研究に携わられた。船の波をコンピューター上で再現するための新しいソフトウェアの開発である。 船は波を作りながら進むのだが、その波が大きいということは、波を作るための馬力が必要なわけだから無駄が多い。つまり船の馬力のかなりが波を作ることに使われてしまう。だから、波が小さく低くなるように船の形を設計したほうがいい。 その頃は、実験を繰り返すという時間と費用のかかる設計法しかなかった。色々な形の船を設計し、長いプールのような実験設備で5、6メートルもある大きな模型船を走らせて、いちばん馬力が小さくて済む船を選ぶのが一般的な設計法だった。しかし、どうしてその形にすると必要な馬力が小さくなるのかはあまり考えなかった。また、形を変えると船の作る波がどのように変わるかもあまり考えなかった。 経営で言えば、商品を変えてみたり、ビジネスのやり方を変えてみて、利益が最も大きかった商品や経営方法を採用するといった具合だ。どうしてその経営方法が良かったのかはあまり追求して考えようとしないことが多いのと同じだ。 水の現象も、経営の現象も、複雑で非線形だから、メカニズムは分からないものと考えて、結果だけで判断してしまっていたのだ。これでは設計と経営も、今一段の進歩は望めない。 |