ものづくり企業は、『富の創造』によって収入を得る

前回ブログで、“製造業の「ものづくり」には、製品のライフサイクルを通した損益管理が必要であり、「もの」を軸とした会計をすべきである。”と書かれており、その内容を紹介しました。

即ち、事業構造としてのキャッシュの健全化を目指すため、「プロダクトベース・キャッシュフローマネジメント」を行うことが必要である。その方法論として、「Time-line Costing(TLC)」という時間軸で損益構造・コスト構造を可視化する手法がある。このTLCの考え方を製造業で導入し、キャッシュの回収スピードを評価できる新たな評価指標(KPI)の導入が急務である、とありました。

そして、私は、その末尾で、キャッシュマネジメントは、財務部が管理するのではなく、事業企画・原価企画・設計・製造・調達など製品開発に携わる全ての人が意識し、マネジメントしていくことが重要となると、強調されており、新鮮さを覚えました。

しかし、私の偏見かも知れませんが、とかく社内では、財務会計データとは、経理担当が、客観的に当該部門の期間損益を算出し、そのデータを、担当部門のみならず、社内トップを含む管理部門へも開示される、謂わば、‘部門経営の定期通信簿’のようなもので、数値が好調のときは胸を張るが、悪いときは肩身が狭くなリ、ひたすら損益数値を気にし、短期的視野で、即効的に損益数値を改善することに四苦八苦する、悪弊がありました。

この様な、社内風土の中でも、部門長が、経営者としての資質が優れている場合は、担当するプロダクト単位の製造・サービスなどの作業区分けした抜本改善策を立案するとともに、TLC目標を設定し、配下の担当者への動機付けを行う、そして、実行段階では、その区分での改善度合いを反映するTLCの経過実績と照合しつつ、改善策のPDCAを繰り返す。場合によっては、関係部門と連鎖する作業のTLCの把握の仕方も進化させながら有効な連携作業の改善策を遂行していく.....。  しかし、この様な、優れた部門長も存在する一方で、目先のTLCの数値のみにとらわれ勝ちに陥る部門長もあると云うのが、実態であろうと推察されます。

従って、この実施に当たっては、連鎖部門との改善状況の相互診断や、悩みもお互いに開示し、切磋琢磨がうまく実施できる仕組み、即ち、‘コトづくり’ が欠かせないと思われます。

更に、このTLC数値は機械的には出せるが、担当部門の実態を正確に反映させるのは容易ではない。どうしたら実現できるのかと、思考を巡らせている中で、次の「お勧め記事」を見つけました。

ドラッカーは、“企業が収入を得るのは、「コストの管理」ではなく、「富の創造」によってである。市場のイノベーションに関わる情報獲得能力である”と、本質論を見事に言い当て、喝破しています。
参照:【経営学の巨人ドラッカーから学ぶ「情報論」】
「組織が必要とする情報」を持っていますか? “図が嫌い”なドラッカーから4つの情報を学ぶ―Author谷島 宣之氏


以下に興味ある記述のみ抜粋します。
詳しくは、上記の参照から、『お勧め記事』経由でアクセスしてください。

ドラッカーは、「今日のところ、企業と情報のコンセプトの再構築は、最古の情報システムたる会計の世界において最も進んでいる」と書く。
ただし、すぐ後で「しかし、自社の活動のコストについての情報を得ただけでは不十分である」とし、「経済活動の連鎖全体のコストを把握」しなければならないと説く。
これ以降も「しかし」が繰り返される。さらに読んでいくと、「しかし、企業が収入を得るのは、コストの管理ではなく、富の創造によってである」と指摘している。 『富の創造のための情報』としては、‘基礎情報’、‘生産性情報’、‘強み情報’、‘資金情報と人材情報’と解説するが、これら四つの種類の情報にしても、現在の状況と、とるべき戦術を教えるにとどまる。「戦略については、外部環境についての組織的な情報が必要である」と云う。

ドラッカーが図を嫌ったわけ
ドラッカーは順々と書いているが、「組織が必要とする情報」を読み終えて、筆者(上田 惇生氏)は四象限のマトリクスを思い浮かべた。マトリクスの横軸に情報の入手場所を、縦軸に情報の目的をとる。
情報の入手場所とは、企業の中にある情報か、あるいは外にある情報か、といったことである。情報の目的とは、イノベーションを推進し富を創出するための情報か、それとも企業活動のコストに関わる情報か、といった違いを指す。こうすると、ドラッカーの論考が整理できる。
だが、ドラッカーはマトリクスという言葉は使っていないし、図も掲載していない。その疑問にこう答えている。
モデルの限界を十分理解した上で使うのであればドラッカーは否定しない。限界を知らない人、あるいは限界があることを説明しない人を嫌った。
社会や企業は生き物であり変化するから、固定したモデルですべてを割り切れない。マトリクスといっても、ある定義にそって境界線を引いているだけだ。その境界線は不変ではなく、動く可能性が常にある。モデルの境界線や座標軸が固定したものと思ってしまうと、大きな間違いをしでかす危険があるというわけだ。
四象限のマトリクスを頭の中に描き、なおかつその枠組みが固定的なものでないことに注意しつつ、読み進むと、前述の通り、マトリクスの横軸は情報の入手場所とし、左を組織の中、右を組織の外とする。縦軸は情報の目的とし、上側はイノベーションを推進し富を創出するための情報、下側は企業活動のコストに関わる情報、とする。以上のように分けると四象限の左下、組織の中にあるコストに関わる情報として「会計情報」が位置付けられる。ドラッカーは活動基準原価計算(ABC)を取り入れることを推奨している。

富の創造に必要な情報
企業内外のコスト情報は、企業を効率的に経営するための基礎情報である。しかし、「企業が収入を得るのは、コストの管理ではなく、富の創造によってである」から、イノベーションに関する情報が必要になる。マトリクスでいうと、上段の象限である。こうした情報は「企業内のイノベーション関連情報」「企業外のイノベーション関連情報」に分けられる。
マトリクスの左上に位置付けられる「企業内のイノベーション関連情報」は4つあるとして、ドラッカーはかなり詳しく説明している。


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