これからの『ものづくリ復活の会計術』とは?

前回のブログで、私が三菱オフコン販売会社MB社へ移籍した2000年当時、業界は、C/Sオープンシステム時代に突入し、モノ(HW)売りから、ソフト・サービス(SW)売り競争への転換が迫られ、このSWで生きる道を確立することが、求められました。そこで、支社・店に所属するサービス部門を本社直轄とし、コールセンターの立ち上げを急ぐとともに、部門業績評価を期間売上損益の業績評価から、コストベースの顧客満足度の改善評価に変更したことを述べました。

当時のMB社では、財務会計システムを中核としたオフコン・システムの販売商社でもあり、自社の経理システムも期間売上損益の業績評価一辺倒で行われておりました。そのため、社内では、この変革施策はかなり違和感があり、反発がありました。これを強引に遂行できたのは、既に、私自身が、この管理方式の洗礼を受けていたのが、強みとなりました。

それは、更に3年を遡る1997年に、私は、三菱電機FA事業本部から、MS社(メルコムサービス社;現在の三菱電機インフォメーション・テクノロジィ=MDIT社の前身)へ転籍して3年を過ごし、そこからMB社へ移ってきたのです。

MS社は、本来大手企業向け三菱大型汎用コンピュータのサービス会社として存在していましたが、90年代に入り、国内大手ユーザ企業は、広域ネットワークと大規模サーバーの導入が始まり、大型汎用コンピュータ事業も、数年早く、MB社と同じ運命を先行して、辿っていました。

前任のMS社長が、自立経営に迫られ、全国規模の大手企業や、電信・電話会社などの三菱以外のネットワークとか大規模サーバーの保全サービスなどにも乗り出し、ネットワークのリモート監視と、コールセンターの設備を導入し、本格的体制が整いつつあるときに、私にバトンタッチされたのです。

この様な経験があり、MB社の中小規模顧客サービスへのコールセンターの導入に、私は、自信をもって社内説得ができ、サービス部門の設備企画にあたり、設立プロジェクト・メンバーのMSの見学などで、早期立ち上げができ、幸運でした。

しかし、MB社の経験を振り返ると、一部の部門だけ、期間売上損益の評価を取りやめ、顧客サービスの満足度の改善指標で評価する方法は、全社経営上不徹底であり、中途半端の嫌いを免れませんでした。

特に、今日直面するものづくり企業のグローバル時代を生き抜くための『SW・サービス本位経営』の時代では、全社がベクトルを合わせる一本筋の通った経営・会計術が求められています。

この様な問題意識から、何か適切な文献・記述がないものかと探しておりましたところ、次の記事を見つけ、大いに納得できる‘要諦’を見つけました。
参照:雑誌サイトから《ものづくり復活の会計術》 第5回・『利益ゼロ』の経営―2010/04/23 00:00 北山 一真=経営コンサルタント
是非、この記事を開いて、詳細を読んで下さることをお薦めします。

以下に、本文を要約しますと、



製造業の経営からみると、従来の会計システムには、“常識がない”ということである。品質管理・納期管理においては当たり前の概念でも、何故か原価管理や会計の世界では、当たり前ではないのである。
また、恐ろしいことに、多くの方が「当たり前の事が出来ていない」という認識すら持っていない。そんな当たり前すぎる事もできておらず、未だ期間損益(財務会計)の風習から脱却出来ていない。

製造業は「ものづくり」だから、期間での損益には何ら意味を持たず、製品のライフサイクルを通した損益が必要である。「もの」を軸とした会計をしよう。
「もの」を軸とした損益、「サービス・オプション」を加えた損益、「製品系列」に括った損益。これらの三つの視点を用いて、『キャッシュの回収スピード』を評価する事が要諦である。


キャッシュの回収スピードを評価するに当たっては、損益構造を時間軸で可視化すること。そして、先行的に投資した固定費の「回収ポイント」のマネジメントが重要である。
この時間軸で損益構造・コスト構造を可視化する手法として、「Time-line Costing(TLC)」という方法論がある。このTLCの考え方を製造業で導入することが必要であり、キャッシュの回収スピードを評価できる新評価指標(KPI)の導入が急務である。

このTLC指数を見ていくと、回収ポイントより以前は、製品を販売して「モノ」が売れていても実質的には利益が出ておらず、先行的に投資した部分(=固定費)を回収しているだけの期間である。製造業は、先行的に投資した固定費を、時間をかけて回収する(=固定費回収ビジネス)という視点の転換が行えるかどうかである。
従って、コストマネジメント以上に、「キャッシュマネジメント」を重要視しなければならない。
この回収ポイントを迎え、初めて『利益ゼロ』の状態になる。この『利益ゼロ』(=回収ポイント)を意識し、いかに早めるかのマネジメントが生き残りの鍵となる「プロダクトベース・キャッシュフローマネジメント」を行い、
事業構造としてのキャッシュの健全化を目指す必要がある。

キャッシュマネジメントは、財務部が検討する事ではない。事業企画・原価企画・設計・製造・調達など製品開発に携わる全ての人が意識をし、マネジメントしていくことが重要となる。まず、その意識付けのためにも、製品毎にキャッシュの回収スピードを評価する『TLC指数』の導入を行ってもらいたい。

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