「セレンディピティ」実践の奨め
先々回のブログ:『‘Sさん’の「セレンディピティ」との出会い』に掲載しました彼の自分史の内容で、私が、最初に惹きつけられたのは;“TIG開発体験が『セレンディピティ現象』であることを、それから20年以上経って本社で同じ部に勤務されていた‘澤泉さん’との偶然の会話でわかった” と書かれていた事でした。
そこで私は、『お勧め書籍』で紹介しました本;「セレンディピティの探求」を買い、読み始めました。しかし、失礼ながら、この本の序(P5)に、“セレンディピティを活用するには、普段から一見能率の悪い経験を積み重ねることが大切であり、頭脳に考察の面白さを体験させていくことが有効であると考えています。コンピュータで短時間に解を求める必要を認めますが、いつもこの様な能率を求めていきますと、そこに存在する人間価値を退化させることになりかねません。人間には、コンピューの短縮してくれた時間を何に充てるかが課題となります。”とあり、成程!と、思いました。しかし、本文を読み進めると、解説とか法則や手法が書かれていますが、上記の“普段から一見能率の悪い経験を積み重ねること”のくだりが頭の中で去来し、‘Sさん’の執念と執着心に感嘆するばかりで、自分は、なかなか実践する気にはなれませんでした。ここでギブアップしては、“人間価値の退化か?”と考え、思い付きましたのは、今までブログのネタ探しとして、「新聞とかネットサイトの記事・コラム」の収集を漠然とやっていましたのを、興味あるカテゴリー別に、例えば、「これからの日本の製造業の在り方」に絞り、収集を始めました。そして暫く温めておき、新しい記事を収集した折に、過去に集めた記事をレビューしますと、今まで、バラバラであったものが、組み合わせるとおもしろい!ことに、‘気づき’ました。最近のブログは、単なる一つの記事を引用しコメントを付加するばかりでなく、複数を組み合わせて書くとか、過去のブログとリンクをとるとか、インサイトが豊富になったと、自己満足ながら達成感を持つ様になりました。これが考察の面白さを体験させてくれることか?と、昨今思うようになりました。
更に、私自身も会社人生で、苦境に陥り苦吟する地獄の真っ只中で、予期しなかった ‘仏の様な人’に救われたことが幾度かありました。私が、「セレンディピティ」に出会った今、‘追体験’を試み、「セレンディピティ」流で、追想体験を試みました。過去に掲載したブログの中から次の事例①~④を選んで行いました;
①『現場での失敗から学ぶ実学』08.10.20更新;
02)NKK(福山)の岸壁クレーン現調での教訓
顧客の保全員が発見してくれた、一本の抵抗器の断線。
②『FA事業の“草創期”の波乱を乗越えて』08.10.14更新;
03)それでも解決できない地獄の中で、救いの「一言」
NKKの保全担当の方が、“そう云えば、現場のプロコンは、帰る時には、電源を切らないよネ!”と救いの「一言」。
③『シーケンサー事業の草創期-Ⅰ』08.01.21更新;
02)品質最優先の方針
ⅰ)現地出張の設計者からの電話での「一言」;“CPUからI/Oユニットへ芋づる式で接続しているバスが長いのが駄目なのです!”
ⅱ)“販売と約定している原価が守れなくなる!”とのトレードオフに悩み抜いた挙句、当時のY副所長に相談に出向いたら、“トラブルで時間と金を無駄に費やし、お客満足を損なっては何にもならぬ!”と一喝されたこと。
④同上
01)製販一体となった製品企画
5月のゴールデンウィークを返上し、製・販の実務を担当する主要メンバーが中部支社の会議室にこもり、連日製品企画の検討を実施した。最初に、工場側(製品開発・製造)のスタンスとして、次の2点を宣言した。
イ)目標価格と品質は約束する。
ロ)機能は他社と遜色ないようにする。
但し、ハードコストが極端に上がることは避けたい。その代わり、ソフトで実現できることは何でもやる。
その結果;徹底した話し合いが終わり、販売側メンバーが “工場側がここまで、我々の言い分を理解し、本当に実現してくれたら、売れない言い訳が出来なくなった! 機器事業部が専売する製品、その頭文字‘K’をとって《Kシリーズ》と命名しよう!”と云ってくれました。我々工場メンバーは、この言葉に感動すると同時に、強い決意を抱きました。
これらの自分の‘追体験’で云えることは、何れの事例も、常時、接触しているメンバー・謂わば‘身うちの人’からではなく、‘部外の人’との会合の中で、予期しなかった触発が起こり解決したものです。今考えると、「セレンディピティ」を知らずして、これが成立していたのです。
そして、‘Sさん’の『e農業日誌事業』とか、『映像コンテンツ事業センター』の事例は、「セレンディピティ」に習熟された上、組織活動に進化させて適用され、好結果を狙い通り得られたものと、私は‘仮想体験’し、確信しました。
この様に、澤泉氏の本;「セレンディピティ」のあらましを学んだ後、自分の成功事例を‘追体験’し、他の人の成功事例の‘仮想体験’を試みると、より理解が進み実戦する意欲が湧きます。これが‘お奨め’です。