‘Sさん’の『セレンディピティ』との出会い

『国際・ロボット展』は、11月下旬に東京ビックサイトで開催される。この開催期間に合せ、我が三菱電機の「ロボットOB会」は、隔年に開かれる決まりになっている。昨年11月は、開催年に当たっており、我々ロボットOB達は、昼間は『ロボット展』を見学し、夕刻までに三々五々会場に集まり、開催されている和気あいあいの楽しい会である。

この会は、歴史を遡ること1982年2月、本社・《産業機事業部(産機事)》が、当時は、メカトロニクスの代名詞でもあった‘ロボット事業’を事業部傘下に組み入れるため、《産業メカトロニクス事業部(産メカ事)》と改名し、「ロボット部」が発足した。
参照:『ロボット事業を含めたFA事業の取り組み』

このOB会に集まるメンバーは、発足した当時の産メカ事・ロボット部所属のメンバーと、各支社の営業担当、ロボット開発と製造を担当する6つの製作所のメンバーが含まれ、さらに、当社のロボット事業の先導役とされたアーク溶接ロボットに連携する既存の「溶接機事業」のメンバーも加わっている。ユニークな営業、技術メンバー多士済々、その後の後輩OBも加わり、今日まで営々と継続し、楽しく有意義な会です。

その様な、昨年のOB会で、私は、自分が書いているブログを、少々場違いかなと、迷いながら席上で紹介しましたところ、私のブログを読んでくれたOBメンバーの一人,‘Sさん’から、“貴兄の09年11月16日のブログ;『‘FAベンダー’のグローバルサービスとは?』を読ませていただきました。”とメールを頂きました。
そして、“「日本型イノベーションのあり方」のベースとなるデザイン思考等、思考法に関するご意見は大変参考になりました。
参照:09年9月28日ブログ;『「人間中心のイノベーション」で日本は優位に』

ご参考になるかどうか分かりませんが、下名の『実践思考法』を添付致します” と、『セレンディピティ』という資料が添付されていました。これには、私はいたく啓発され、先ず、‘Sさん’に、これを知るに到った自分史を是非にと依頼しましたところ、快く書いてくれました。

《Sさんの自分史》
注記:‘Sさん’のご経歴;上記の「ロボット部」発足時代は、溶接機の開発エンジニア。その後、社内のITを含む技術営業として活躍される。現職は、三菱電機エンジニヤリング㈱で映像情報システム事業の担当部長。

入社し溶接機開発製造部門に配属、8年目に始めて開発を担当しました。開発テーマは、セミオートTIG溶接機で、通称「セミTIG」。セミオートとは半自動、TIGとはタングステン・イナート・ガスの意味です。名前の通り人間が操作し、溶融ワイヤを(連続及び断続的に)自動供給しながらTIG溶接をする画期的な機器。それまでTIG溶接で溶融材が必要な場合、棒状等の溶融材を空いているもう一方の手に持ち手動で供給しなければならず、熟練が必要でした。
開発のポイントは、コンパクトで、重くなく、溶融ワイヤが狙ったポイントに正確に、円滑に挿入されること。当初、試作品を実験室に持ち込み、自分で実際に溶接し改良点を洗い出し、改良試作を何度か繰り返せば開発完了と考えた。しかし、開発は難航し行き詰まり、実験室で考え込んでいたある時、偶然通りかかった現場の人との立ち話の一言で最大の問題解決のヒントを得、一気に開発が進んだ。その後開発に興味を持った彼から種々アドバイスを得たことを鮮明に覚えている。
開発完了を機に設計から営業へ転進、自分で開発した機器を販売することになった。代理店から大量注文が入った時の嬉しさは忘れられない。営業に転進してからも溶接機器の開発、改良に携わった。実験室での溶接実験を通し培った金属の溶融挙動観察眼が役にたち、金属の溶融特性に合わせた電気制御が必要で、溶接電源のサイリスタ制御改良に貢献。
セミTIG開発体験が『セレンディピティ現象』であることを、それから20年以上経って本社で同じ部に勤務されていた‘澤泉さん’との偶然の会話でわかった。

参照:『お勧め書籍』;「セレンディピティの探求」 澤泉重一著
澤泉さんとの出会いを機に、セレンディピティの体験と理論の勉強から「セレンディピティ(幸運な偶然)により早く出会う仮説」を立て修正しながら実践してきました。映像情報システム販売部門勤務時に設立した、映像コンテンツ事業センター(メディアオペレーションシステムセンター:通称MOS)も、その成果のひとつです。

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