‘飛び越し型FA-IT’ツールの開発の勧め

前回のブログの結びで、これからの日本企業は『知識創造経営』を推進すべきであると述べましたが、今回は、製造企業において、「知識を創造」する製造現場ではどの様な行動様式が求められ、その行動を支える‘ITツール’はどの様なものが求められるのかを考えてみたいと思います。

前回ブログで、トヨタの考える“知識産業の生産手段”とは、社員一人ひとりの「手=“暗黙知”」と「頭=“形式知”」である。工場労働者をラインで働く単なる「1組の手」とは考えず、一人ひとりが直接的な経験や他者との関わりから新しい知識を獲得する「ナレッジワーカー」と捉えている。このイノベーションの源泉を探ってみると、“人間の洞察力や直感、ひらめき等の暗黙知が起点となる”と記載しました。そして、ITを“手元道具”として習熟を図れという事なのですが、果たして現在手元に調達できるITツールは満足できるものかどうかです。第20回DMS展では、それを目指して、“見える化→観える化→診える化”への進展の兆しが顕れました。まだまだ進化の余地があると思われますが、現場の作業員が、何かの異変の兆候を‘ひらめき’、手元データを分析し、その原因を探ることはある程度可能ですが、残念ながら、彼らにとっては‘ITリテラシィー’のハードルは高く、使いこなせないのが実態であろうかと思われます。製造業ユーザとしては、現在入手できる‘FA・IT’システムを活用し、進めていかなければならないことは云うまでもありませんが、生産設備システムのベンダーとしては、この‘飛び越し型FA・IT’ツールの開発に取り組まなければならない重要使命があります。

しからば、どの様な究極の‘飛び越し型FA・IT’ツールの開発が求められているのかを、構想するに当たり、最新ロボット技術の進化の記事を見つけました。ここに紹介するのは、日本が世界に誇りうる‘人型ロボット’を営々として独自の日本初の考えの下に、開発を進めてきた話です。日本の製造企業は、否応なしにグローバル化が進む世界の中で、再びリーダシップを取り戻して行くためには、かつての「製品のものづくり」から「ものづくり知識を創造する」へ飛び越さなければなりません。この記事は、日本発の“暗黙知を起点”としており、開発の着想、進め方も、共通点があるように思います。私の構想イメージは、未だ‘暗黙知’の域を出ないものですが、「‘ものづくり知識を創造する’人を支援するツール」の開発が一日でも早く、前進することを期待する者です。

日経新聞09年4月15日のP29全面記事:【日本創造会議】で掲載;
『ロボットは脳で操る』 ≪ヒト型は高齢者を助け、新産業に育つ≫
語り手:神経科学者の川人光男氏(ATR脳情報研究所長)
が曰く;
脳科学とロボット工学を融合し、器用に仕事をこなすヒト型ロボットの実現に迫っている。人間の指示でともに働くしなやかなロボットが日本で誕生、大きな産業になるとみている。・・・・・・・・・・・・とあります。
以下に、‘飛び越し型FA・IT’ツールの開発コンセプトの形成に役立つと思われる部分を抜粋し、各項の末尾に‘FA・IT’ツール開発として、注目すべきポイントを≪コメント≫として付記しました。

01)ヒト型ロボットは日本が世界を完璧にリードしている数少ない分野だ。日本には多数の大学と企業に優れた研究者がいる。とりわけ、脳とヒト型ロボットを結びつけてトップの成果を出している研究室は、世界に国際電気通信基礎技術研究所(ATR)しかない。
≪コメント≫ 日本の製造方式には、欧米から導入した‘モジュラー型’を現場の働き手のスキルで‘インテグラル型’へ進歩させた歴史がある。

02)前例のないアプローチ、「脳をつくることを通じて脳を知る」で、脳に挑んできた。生きた脳細胞を使うのではなく、脳の情報処理のやり方を調べ、同じやり方を機械で実現する。そのために頭脳だけではなく人間とそっくりの身体を持つロボットをつくるやり方である。
かつてコンピューターを使った人工知能の開発が盛んだったが、これも限界がはっきりした。コンピューターはチェスで一流になれても、三歳児ほどの日常的判断力もない。これは当然のことで、脳の働きを脳だけ取り出して知ることができないからだ。身体を通して外界とかかわるからこそ脳なのだ。
≪コメント≫ 従来の欧米流ITツールの延長ではなく、製造現場のベテラン(人)の脳の情報処理のやり方を調べ、同じやり方で‘FA・IT’ツールを実現する。このツールは製造設備の状態や、インプロセスのワークの状態のセンシングも含めて考えることが重要である。

03)脳をつくって脳を知る戦略は困難な回り道に見えるとの指摘もあるが、そうは思わない。難しいからと云って、本質的な問題を避けたら、そもそも進歩はない。最初には驚かれたが、今や脳科学とロボット工学の一つの潮流となった。これは歴史的必然だ。
≪コメント≫ ‘FA・IT’ツールの開発は、IT、FA技術者が融合して取り組む必要があり、両者が製造現場へ入り込み、現場のベテラン(人)の作業の目線で実用試作を繰り返して、開発を進めなければならない。

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