第20回:DMS展リポート
昨年に引き続き、去る6月24日、第20回:DMS展(設計・製造ソリューション展)へ見学に出かけました。昨年に比べ、心なしか、主要ベンダーの大ブースは減少し、派手な寸劇ステージやチャガールの宣伝合戦は鳴りを潜め、それに代わり、沢山の出展社の中規模ブースがひしめき合って増加し、ステージでは啓蒙的なセミナー調のPRが行われ、周辺には営業・技術部門の実務者と見られる人々が通路まで出て、通りすがりの見学者に熱心に話しかける姿が目に付きました。昨今の景況を反映し、出展各社の実務者がユーザの声に真摯に耳を傾けようとする姿に、好感を持ちました。
展示会場の入口を入って直ぐ左手に、三菱電機のブースがありました。三菱ブースは例年より小ぶりになった様に見えましたが、会場案内図を見ると、最大コマ数を張っている3社の内の一つで、最も取りつきの良い場所に位置しているので、“エー? 三菱が最大か!”と驚き、一転して、FA業界の不景気風を肌身に感じました。しかし、冒頭に述べましたように、会場全体は、いっぱいの人だかりで、昨年と雰囲気が違っています。“FA業界は景況に負けて堪るか!”という質実剛健な気風を感じ取り、心強く思いました。
三菱ブースへ入り、例年の掛け合いステージが何処にあるのかとキョロキョロしていると、案内者が今年はステージを止めたと云います。そして、今回の趣旨は、「設計」・「生産」・「品質」・「エネルギー」管理に伴うコストに対して、現場のデータを収集、分析することで「TCO削減」を実現、更なる改善に向けたe-F@ctoryによる三菱FA統合ソリューションを紹介すると云います。ブースの間取りは、三菱FAソリューションゾーンと、上記の4つの趣旨で区分けしたゾーンが設けられています。三菱FAソリューションゾーンでは、「情報連携製品」、「エンジニヤリング環境」、「計装システム」、「省エネ支援機器」の区分で、SW、HWコンポーネントを展示し、4つの趣旨に区分けした応用ゾーンでは、出展パートナー、20社余りが、それぞれの得意技の実用システムを持ち寄り、展示しておりました。各ゾーンは各社の肩がぶつかるように展示物と説明員が立っており、混雑の中で、私が立ち止まると熱心に話しかけて来ます。少々乱雑な質問を浴びせても、実直に、説明してくれます。長く引き留められ、時間も掛かり、少々、疲れましたが、お互いにたっぷりコミュニケーションし、悪い気はしませんでした。これは三菱電機ブースの高等戦術だったのでしょうか?
今回、会場全体で、“現場のデータを収集し、分析する”というデモが目立つようになり、興味を惹かれました。以下に、所感を列挙します。
01)「TCO削減」を目的とする
「TCO削減」を前面に出し、目的を簡明することは必要と思いますが、コストがすべてではないことを、意識していないといけないと思います。その背景には、製造知識・スキルの練成と、形式知化して組織共有化をはかり、グローバル展開を推進する人材育成など、コストだけで評価できないメリットがあります。これを大事に強化していきたいものです。
02)今年は「見える化」から脱皮した
昨年オムロンが、「見える化」から、「観える化」、「診える化」と唱えておられたことが、印象に残っています。今回のDMS展で、その趣旨が浸透してきたことを、心強く思います。
事例―1) ものづくりAPS推進機構のブース、他にて
参加企業がそれぞれのコンポーネントSW、HWを持ち寄り、XMLベースで連携システムを構築し、掛け合いデモをやっていました。私には少し理解しづらいところがありましたが、これは、ある部署で、工程の支障きたす兆候が現れた場合、大事に至る前に、総合(調達・ロジス・製造)工程全体のワークロードを「見える化したウィンドゥ」から、オペレータによる支障の芽を摘む意思決定プロセスを実施しているのだと、想像しました。このシナリオに該当するデモは、いくつかの個別ベンダーでも行われていました。これを見て次の書籍を思い出しました。
参照:過去の「お勧め書籍」;『ものづくり日本を再生せよ』―P36‘宇宙戦艦ヤマトをイメージした知的統合生産システム’
これは、オペレータが、自分の経験と知識能力を使って、「観える化」、「診える化」する行動が起点になります。従って、FA-ITベンダーが、この様な先人的オペレータの意のままに操れる「ノギスの様なITツール」を提供できるかが鍵となります。
事例―2)三菱インフォメーションシステムズ(MDIS)
同社は、情報の「見える化」から「使える化」を目指し、トラブルの早期発見&早期解決を支援するITツールをデモしておりました。製造現場のベテラン職長が問題発生の前兆となる指標を『診える化』し、監視することで、未然に問題発生の芽を摘むことが出来る。将に、これは、事例―1)の“「診える化」の行動の起点”にフォーカスしていました。
参照;お薦め記事;(MDIS社)ブースのデモの紹介:「製造実行システム(MES)に不良の前兆を察知する機能を追加」