昨年のDMS展からの、一年を振り返り

今年のDMS展見学リポートを述べる前に、この一年間を、大略、振り返ってみたいと思います。

昨年の第19回DMS展開催のころは、自動車産業などでグローバル進出に成功し、輸出も好調で、日本経済は好況裡にあり、今年とは異質の大賑わいで、各社ブースのステージでは、派手なパーフォーマンスが演じられ、通路ではチャガールが賑やかに呼び込み、いわば、メーカの一方的PRが行われていました。

そして、三菱電機ブースでも負けず劣らず、派手に、『 現場から経営までをダイレクトに接続;《~e-F@ctry がSOAを手に入れた~》 』のキャッチが踊り、《製造現場の三菱PLCが新ユニット“MX MESInterfaceIT”を介して、IBMのSAPシステムと直接ドッキングした統合システム》を掛け合い劇で、大宣伝しておりました。

これについて、当時の私の感慨は、FAの三菱と、ITのIBMが、FA-ITの情報連携の壁を取り除き、現場の実態をすばやく反映したPDCA改善サイクリルを実現する仕掛が実現したことに、大いに評価しました。そして、これを可能にした‘MX MESInterfaceIT’を組み込んだシステムアーキテクチャをリポートし、IT基盤として適用された‘SOA’と‘EBS’を解説しました。
参照;08年8月19日更新;『第19回:DM展リポートーⅠ』

しかし、このシステムの限界は、既存の上位ITシステムが、製造現場の実態を把握できている範囲内のデータを分析することで、改善策が見出せることが前提となっていました。しかし、仮に、このデータでは不十分であった場合、これをベースに改良プロセスルール;BPM(Business Process Module)を作成して、ESB(Enterpise Service Bus )に接合すれば、即刻、運用移行することはできますが、有効な改善とはなりません。なぜならば、製造現場の日本流PDCA改善活動は、欧米流トップダウン型ではなく、現場主導のボトムアップ型でなければなりません。日本特有の “現場の目利き、超ベテラン”が、そのデータを分析(=Check)して、的確な改善策が納得できない場合は、新たな現場データを採集するBPMを試行するActionをとるか、又は、暫定改善策を試みながら、評価することができる新たな現場データを採集するBPMを試行するActionをとるかの何れかを判断し、PDCAスパイラルを繰り返し、最適解を追求することが、日本流PDCA改善活動の真骨頂だからです。

しかし、従来の日本流PDCA活動には、これからのグローバル競争時代を日本が生き残っていくための“泣きどころ”となる重大な欠点があります。それは、上記の参照ブログ;『第19回:DM展リポートーⅠ』の03)項で述べました、≪PDCAサイクルの中の、‘Check’と‘Action’の連鎖の間に存在する情報システムのボトルネック≫です。

この状況を具体的にイメージして頂ける挿話を、前回ブログで登場いただいた、参照;河田 薫氏の著述の7月27日更新の項目:「システムに魂を吹き込もう」の中からを引用させていただきますと、
“親父さんが続けます。「Aさん、あんたのシステムに魂を吹き込もうや」親父さんがもう一枚の絵(図表-4)を示します。「これは、さっきの絵に細かい枝を加えたもんだ」「それぞれの枝の上半分は『ファンダメンタル』、下半分は『安定稼動』を目指した取組みの例が書いてある」 Aさんは何とも言えない緊張感に包まれながら、親父さんの絵を見つめています。 親父さんが言います。「Aさん、今回あんたと一緒にやりたいのは下半分、すなわち製造現場の『安定稼動』を担う部分だ」「ここには膨大なデータがあるからよ、人の手じゃどうしようもねぇんだよ」”と、あります。

このボトルネックを解消するために、三菱電機は、その第一弾;MELSECシリーズのモジュールとして、上位ITシステムとの‘情報の出入り口’;“MX MESInterfaceIT”を開発し、昨年のDMSで展示しました。しかし、上記の日本琉PDCAのボトルネックは本質的な解消には至っていませんでした。それは、第二弾;MELSECシリーズのモジュールとして、もう一方の製造現場のFAシステムサイドに高速収集機能として便利なモジューラータイプの“データロガー”の開発が必要であったのですが、この時点では、製品化が実現していなかったのです。

この製品は、本年1月に発売されました“高速データロガー;QD81DL96”です。そして、私は、今年の第20回DMS展で、そのシステム応用が展示されることを聞き、今年も期待を膨らませ、見学に出かけました。(⇒DMS展見聞記は次回にて)

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