生産管理システムとは‘ノギス’と同じ道具
前回のブログ末尾で、“本来のあるべき‘IT’を‘手元の道具’として根付かせること”と説きました。さて、≪目的意識のない人は情報を使えない≫という製造現場の意識改革と、それを実戦する‘手元の道具’とは如何にあるべきかをどう展開するか?を構想している最中に、何気なく、私の手元に読み残しておりました三菱電機よりのメールニュース;e-F@ctory NEWS [2009/06/03] を開き、ズバリそのものに出会いました。
その第2項に《ものづくり情報のご案内》欄があり、日本能率協会の情報サイト「ものづくりNext↑Web“明日を読む’」の内容紹介;
「これからの製造現場がもつべきインテリジェンス」
生産設備情報の活用やサービス部門とのデータ連携、製造現場が持つべき機能の将来像などについて考察しています。是非ご覧ください。
[執筆者] 三菱電機株式会社 名古屋製作所 開発部 主席技師長:河田 薫
[5月25日更新] 夢と期待が失望に変わらぬように 中間まとめ
と紹介されていました。
参照;目次のリンク先:日本能率協会 ものづくりNext↑Web)
→2009/01~連載中 「これからの製造現場がもつべきインテリジェンス」
上記のURLからページを開きますと、今年の1月から4月までの計4回の連載が行われ、5月は、<中間まとめとこれからの展開の予告編>という形で掲載されています。読み進むと、なかなか上手く書かれており、私が求めていたものは、コレだ! と思いました。
以下に、解説を加え、引用しますと;
製造現場の超ベテラン職長の頑固‘親父さん’と、その部下の生産技術の新人担当者で、張り切りボーイの‘若者’と、そして、同社の社長方針で、これからの製造現場はIT化を勧めなければならないと、ITベンダーに声をかけ、ITシステム受注獲得にやってきた自信満々の若手SEの‘Aさん’、の3人が繰り広げる対話の中から、物語風に「これからの製造現場がもつべきインテリジェンス」を平易に解説を試みる著者、河田氏の著述、中々よく出来ています。以下の本文を先ず読んで頂き、遡って目次に従い、通読されることをお勧めします。
河田氏は、この<中間まとめ>で;
「生産管理システム(IT技術)は、これまで人が担ってきた製造現場の運営の役割を人に代わって担うものと説明されます。「自動的」という無責任な想いを介して繋がる製造現場と生産管理システム、多くの人々が期待し、そして失望してきました。」とあり、前回の私のブログでも述べましたように、コンピュータが打ち出すデータは、皆が正しいものと思い込む習慣から、親父さんは期待しては、現場に馴染まない違和感で、今まで失望を繰り返してきました。今度こそ、まともなものにしたいと思いました。その一方で、SEのAさんは「夢」を吹聴し、‘若者’はそれに無邪気に「期待」を膨らませているのを見兼ねて、 大事なことを考えるのを忘れている二人に、親父さんは問いかけます、 “生産管理システムってのは、このノギスと同じだって分かるか?” “製造現場を理解した情報システムってのを作れないものかい?” と。
親父さんが言いたかったのは、どんな立派な道具でも、それが何のための道具であるかを理解し、ちゃんと自分たちで考えて使わなければ、何の役にも立たないということです。製造現場を取り巻く環境には、複雑に絡み合った無数の業務が存在します。それぞれの道具が、それぞれの目的を持つことを知り、自らが目的意識を持って活用する。決して「万能」を求めてはいけないのです。
まず、きちんとした目的意識を持つことが重要であり、目的を明確化するために必要なのはデータです。製造現場のデータを通して、製造現場で何が起こっているのかを知ることで課題を明確化し、その改善を目的として設定する。この当たり前に見えるプロセスが、生産性などの抽象化されたマクロ指標と、何でもできると誤解された不幸なIT技術に阻害され、疎かになっている。それが製造現場のIT化が進まない大きな理由の一つです。親父さんは、Aさんに製造現場のデータを分類してみせました。それぞれのデータは、何らかの目的のために計測され、そして目的に到達するまで、比較し、組合わされ形を変え「進化」していきます。比較・組合せの過程でこの進化が不十分であれば、目的への到達度合いもまた不十分なものとなります。
これに対して、Aさんが説明した情報システムは、製造現場を上から眺め、データ進化の過程を知らない情報システムで、データ解析の機能はあっても、結果と原因を結びつけ、製造現場に具体的な改善を促す機能に乏しいのです。日本の製造現場が行ってきたボトムアップ型の改善活動と、欧米型は設計から現場へと一方向に流れる製造システムと比較されても良いと思います。・・・と、書かれています。
どうやら、日本流の製造現場が求める‘IT’とは、この様な目的に適った「自在に繰れる道具」の様です。DMS2009展へ見学に行き、少しその風を感じました。次回は、そのレポートを試みたいと思います。