製造の『KEM』のあり様は?

前回のブログで、三菱電機FAが、MX MESInterfaceITユニットを開発し、SOA基盤の上で、IBMの開発したセンス・アンド・レスポンドの仕組みと組み合わせることで、俊敏性の高いシステムの構築を可能にしたことを紹介した。センス・アンド・レスポンドは、BPM (Business Process Management) の技術であり、ESB (Enterprise Service Bus)で接続された現場のデバイスや設備から、SAPに代表されるような基幹系アプリケーションまでを、ビジネス・プロセスの中で統合することができる。デモで接続されていたMaximoはそうした基幹系アプリケーションの例ということになる。これにより、操業しながらプロセス・ルールを進化させるPDCAサイクルをリアルタイムに実行することができ、FA-IT間のボトルネックの解消ができることが示されたと言える。

さて、果たして、このシステムインフラを使いこなし、俊敏な製造現場を含む操業システムを実現することが出来るかどうかが課題である。システムの上位管理層のSOAを使いこなすSEの人材は比較的豊富であり、欧米では既に実現している手本も多いと思われるが、「和魂FA・洋IT」の人材は、操業しながら自ら養成するより他に道はない。

言うまでもなく、‘和魂FA’を体現しているベテランは希少価値である上に、製造知識を扱う‘洋IT’を使いこなせる人材は皆無に等しい。一方、‘洋IT’を使える若手で、製造現場の経験者はいない。このような条件下で、何とか製造業の生き残りを賭けてやらなければ始まらない。

去る7月7日更新のブログで引用した日経記事、“今を読み解く”のコラムに、LCA大学院大学の副学長 森田正規氏の「技術継承のカギは個別性; 時代にあった自社流で」の中に、岸宣仁著『デジタル匠の誕生』という本が紹介されていました。早速買ってきて読みました。「はじめに」の項に、“ITはこれまで、放送・通信を中心とする第3次産業のサービス、携帯の進化をイメージし勝ちであるが、第2次産業の製造業にも猛烈な勢いで浸透している。「匠のデジタル化」― ひと言でいえば、それがキーワードである。日本のモノづくりのお家芸であった「匠の技」が、0と1の信号で処理される「デジタル情報に置き換わっている現実を直視しない限り、グローバルな競争で生き残りは難しい。見方を変えれば、「IT(情報技術)とMT(製造技術)の融合」が奔流のような勢いで進み、モノづくりの世界に新次元のパラダイムシフトが起きている。製造業の現場は、デジタルエンジニヤリング(DE)に大きくシフトし始めている。”と警告している。

まさに、ここにある『デジタル匠』を産み、育てて、日本のモノづくりのお家芸をパラダイムシフトさせなければならないのである。

この方法論として、7月22日更新の末尾に掲げた、所謂、事務系の知識処理「洋IT」の進め方として、アクト・コンサルティング(取締役・経営コンサルタント 野間彰);意思を持って知識活用を加速する「ナレッジ・エボリューション・マネージメント『KEM』」の勧めを引用し、製造知識のエボリューションの有り様は? を考えて見たい。

01)ある大手企業の情報システム子会社A社の事例1

親会社以外の顧客からの受注量を増やし,事業拡大を図る目的で,『KEM』の全社展開を目指した。A社のナレッジ・マネジメント・システム(KMS)の進化のプロセスは、次の三つのフェーズに分けられる。

第1フェーズは、「ナレッジ共有」である。営業の提案実績のデータベース化で,提案書を作成する生産性が向上した。

第2フェーズは、「業務革新」であり,有能者のナレッジを活用する方法を仕組みにして,組織全体に広げる段階である。商談成約の勝率を向上させるナレッジを各部門長が率先して収集し,セールスや提案に活用する業務プロセスを確立した段階がこれに当たる。しかし、その効果は部門によりバラつきが大きく出ていた。

第3は,「事業革新」で,事業運営の考え方や仕組みを革新するフェーズである。同社が独自に目指す新しい事業サイクルを指した。

しかし、この進化は,偶然によってもたらされたと言っても過言ではない。事務局の中に,KMSを単なるナレッジ共有のツールにとどめず,大きな成果を上げたいという執念を持った人間がいた。彼は、全社の中にa事業部長が自主努力によってKMSをうまく活用しているのを見出した。これらの偶然が重なって,A社のKMSは進化した。他の会社ではこの様な偶然が起こらず,恐竜のように絶滅寸前のKMSも数多く存在している。そうは言え、進化のスピードに問題があった。第2フェーズに到達するまでに,3年以上の歳月を要し、第3フェーズの事業革新は未だ推進途上である。3年間,事務局は与えられたリソースと予算の範囲で努力した。そして、経営者が積極的に参画し始めたのはフェーズ3の企画が上がってからである。果たしてKMSの進化は,偶然に委ねる以外に方法がないのか? それを打開するのが本題のテーマ:『KES』である。

02)ナレッジ・エボリューション・マネジメント『KES』

経営者が必要なリーダーシップを当初から発揮し,意図を持って進化を加速することは可能であると考える。これが『KES』である。

ナレッジ・エボリューション・マネジメントの成功要件は二つある。「最大ポテンシャルを追求したビジョン構築」と、もう一つは「経営者のリーダーシップ変革」である。B社の実例を挙げて説明している。

続きは、上記のお勧め記事を参照; 進化の要件1),2)へ直接リンク出来ます。

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