日本の製造業、『和魂FA・洋IT』で再生を!
製造のグローバリゼーションが進行する中で、果たして日本のものづくりの優位性を発揮していけるかどうか? その不安材料には事欠かない。このジレンマを脱するために、去る07年11月更新の『製品価値の再定義で第3の生産革新』のブログで、戦後から20世紀末にかけての日本の製造業が驚異的に発展した歴史の流れを振り返りました。
それを要約すると、
| 01) | 戦後、米国からIEを学び、コンベヤラインによる大量生産(マスプロ)方式をものにした、第1の時代。 |
| 02) | 85年頃以降、ロボット化・無人化で、生産システムの自動化が進んだ第2の時代で、自動車・半導体産業などを中心に全盛を極めた。 |
| 03) | 90年代半ばのバブル崩壊で、急激な円高を回避するため、東アジアに工場進出を加速させ、結果的に新興国の工業化に貢献するとともに、低コストの競争力の返り討ちにあい、国内製造は低迷し少子高齢化時代に突入したにも拘らず、新人採用もままならず、これまで製造現場を支えた団塊世代のリタイヤが加速し、良質な働き手を失い、技術伝承もままならない状況下にある。第3の生産革新の方法論が提唱されているが、日本の製造業、改革の道が視界不良で緒に付かず、消長の瀬戸際にある。 そこで、各企業は、本来の自社「得意技」を再評価し、少子高齢化社会のなかで、革新の再チャレンジが出来るかどうかが鍵!と、述べた |
上記の中で、02)の製造業の全盛期を成し遂げた日本の「得意技」とは何だったのかを突き詰める必要を感じていたところ、4月の『お勧め書籍』で掲げた、阿川弘之著『大人の見識』 に出会った。
そこには、“明治維新で、日本の武士道精神の基盤があったからこそ、第一次大戦までの短期間に日本は一等国になった。その奢りで、軍国主義が台頭し、大陸侵略に突入し指導層がおかしくなり、太平洋戦争で大敗した。
しかし、企業の底辺を支える戦中・戦後派の人材は健在で、驚異的復興を果たし、日本はGDP世界第2位の経済大国にまで成長した。” しかし、21世紀に入り、その武士道精神は顧みられず、ますます、迷走しているのである。
かつて、戦後の驚異的復興と工業化を果たしたのは、突き詰めていくと、日本の江戸時代にさかのぼる武士道精神を体現した良質な国民性にあると喝破している。江戸時代の末期までは、海に囲まれ外からの侵略を受けず、自らも侵略せず、稲作文化で喩えられるように、与えられた地盤、環境の中で、人間の叡智が営々と練り上げてきた「巧みの文化」に根ざしている。 その「日本武士道」とは、“卑怯な真似をするな、嘘をつくな、弱いものいじめをするな!”の家訓のもとに支配階級の武士が滅私奉公の精神を体現し、この精神は家庭と寺子屋で、叩き込まれ町民にまで浸透していた。著者は、日本の武士道(和魂)とイギリスのジェントルマンシップと一脈通じるものがあると言います。明治維新でこの精神基盤「和魂」があったからこそ、「和魂・洋才」で一等国と言われるまでに急成長を遂げることができた。そして第2次大戦後も、この精神が、戦前・戦中派の人たちに温存され、復興と高度成長を支えた。
昨今、経済のグローバリゼーションでは、オイルマネーのような巨大投機マネーに翻弄される金融市場のなかで、日本の大企業は日本の金融センターから逃げ出し、一方シニア世代は、営々と蓄えてきた銀行預金のゼロ金利に愛想を尽かし、“もっとお金を働かせよ!”の口車に乗って、巨大投機マネーの尻馬に乗ろうとするが、所詮、のろまの個人投資は巨大資本に吸い取られるサマを身近に感ずるにつけ、日本全体の金融資産は、瞬く間に萎んで貧乏国になってしまう不安に囚われます。
このような状況下で、何とかして日本の製造業の優位性を再生しなければ、日本の将来は暗澹たるものになります。
かつて日本の製造業を支えた現場力とその精神、すなわち自己改善と自己増殖していく現場力は、外国には未だ、育つ土壌が醸成されておらず、日本が教えない限り直ぐには育たないと思います。しかし、日本がその範を示す能力が欠如してしまうと、時間が掛か駆るかも知れませんが、やがて新興国は自力で体得して行く国も出てきます。
日本の製造業は、自社の現場力の強みを再考、選択し、それをグローバルな強みにイノベーションさせなければなりません。
先回、先々回で、シリコンバレーの飯田君からの最近のIT事情のレポートを頂きました。検索エンジン型のITインフラは、小規模な用途でもグローバルに低コストで構築できる時代になったことを示唆しています。現在の欧米における「洋IT」は、所謂ホワイトカラーの分野の人達が、マーケッティングとか、サービスの分野で、ITインフラを活用し、業務知識処理と知恵の創生を行い、組織の知識・知恵として実用しています。これに対し、日本は製造現場の技術・技能を、グローバル運用を可能とするFA知識・知恵に進化させることを目指すものです。
かつて明治維新で日本を発展させた『和魂・洋才』を、今一度、『和魂FA・洋IT』で、再チャレンジしようではありませんか!