食品加工・流通のトレ-サビリティ-
前回、食品加工業の食の安全と品質確保について、他の製造業種と異なる問題を検証してきた。
食の安全を脅かすのは、システムの間隙をついた犯罪行為であり、一種のテロ行為である。それを防ぐ対策は、「食の安全はCSR調達で管理せよ」でしかなさそうである。従って、“犯罪”に対する防止策は、完全にはシステムだけでは対応できないが、少なくともトレーサビリティー・システムは、犯罪者の意欲を減退させることができる。それはトレーシングデータの中に、日常の各工程で、誰が、どういう作業を実施したかを逐次、記録しているので、犯罪行為のポイントが、前後工程から絞り込むことが出来る。従って、犯罪に対する抑止力が働くとものと考えられる。
即ち、前回ブログにあった「CSR調達制度の締結」と双対して、トレーサビリティー・システムを実施しなければならない。
ここで、日経の《ゼミナール 3月14日》欄に、(関係部分を引用)
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とあった。
上記にあるように、食品の場合、流通全体の一貫したトレーサビリティーを実現するのは非常に困難であり、費用もかかることが想像されます。
従来、食品加工業でよく使われているトレーサビリティーは、薬品製造などの化学製品に使われているLIMS(Laboratory Information Management System)をベースに作られたものです。製造工程中での素材、中間品、製品の各段階でサンプルを採集し、研究室で製造品質を分析・評価し、製造レシピの改善に供したり、新製品開発に参照データとして活用するとともに、製品の履歴を、事後問題があった場合の原因究明に役立てる目的で、LIMSが使われています。内容的に分析的な技術に関連するため、研究室主導で管理されて来たものです。一方、通常の製造工程のレシピは、PIMS(Production Information Management System)で製造プロセスのデータを管理し、製造プロセスで利用されています。この様に、高度なプロセスを実行するためのプロセスコントロールシステムは、実験室で試作されたものを量産プロセスヘシフトする方式がとられ、別名、計装システムと称されるように、サンプルのデータ採集と分析が重要な機能であり、プロセス知識を集積・管理するLIMS、PIMSが中核となっている。そのため、トレーサビリティー・システムの主旨は、社内の製造知識の製造実現を確認するためのものとしている。従って、社外提示用のデータ部分のみを切り出す処理が必要であることと、開示したくない固有知識・ノーハウデータの流出とか、提示データの信憑性(社内データとの切り分け過程で改竄の疑惑が湧き易い)の立証が難しい。さらに、今まで含まれていなかった、入手先と出荷先とのトレーサビリティーの連携も新たにできるようにしなければならない等々、記事にある様に、費用対効果が普及の妨げになる。また、食品業界としては、短期間で確立しなければ、ますます混迷に陥り、食材の自給率40%以下の日本にとって、社会不安となりかねない。
そこで、上掲した記事にあるように、“生産管理や受発注、販売管理などの基幹システムに、追跡機能を組み込んで行くことで対応できる。こうした簡便かつ低コストの仕組みが普及の鍵を握っている。”とあるのは、FA-ITを視野に入れたベンダーにとっては、妥当な提案であり、『食品加工・流通のトレ-サビリティ-』の早期立上げが迫られている中で、非常に良いヒントを与えて頂いたと、私は確信しました。
この考え方と手法は、他の業界で起こっている偽装問題を回避する手段として、共通に適用できると考えられ、「今後のFAコントローラのあり方」の検討の視野に入れて行きたいと考えます。これからのグロバール分業生産には、今まで、行われていなかった分野にも「トレ-サビリティ-」が必要・不可欠です。現在稼動しているシステムにアド・オンできるシステムの標準化を、まず日本初で進めて運用実績を積み、世界標準になれば、日本と東アジア地域との生産・製造・流通の事業連携が進み、Win-Winの共栄が出来るのではないかと、期待します。