食の安全・品質問題から、学ぶこと

昨年来、賞味・消費期限の偽装があちこちで顕在化し、さらに中国製餃子の毒物混入事件が発生し、加工現場における予防対策の強化が必要となっている。食品加工企業にとって、食の安全・品質の信頼失墜は死活問題となっており、食材の調達から、加工現場、流通チャネルを経て需要家に至るまでの連鎖の中で、問題発生の芽を除去できるよう、如何に改善するか、喫緊の課題となっている。

次の関連記事があった:
増岡直二郎の「企業とシステムを救う ユーザーからの提言」
『中国ギョーザ事件に見る企業・行政の姿勢に対する憂慮』

(引用部を下記に“”で示す)

  “こういう類の事故を防止するところにこそ,ITの出番がある。例えば,RFIDを利用したシステムを導入してトレーサビリティーを明確にすれば,事故発生時のトレースができるし,事故の予防効果もある。RFIDを使えば,原料の生産,部品の加工,輸送,販売,あるいは修理について,「いつ」「どこで」「誰が」が明確にわかる。”とあった。

RFIDシステムを使えば良いことは誰でも解るが、次の言葉が核心をついている。

  “RFIDの活用には,投資金額,システム構築後の運用ノウハウなどいくつかの問題がある。しかしそれよりも何よりも,トレーサビリティー・システムを導入する前にしておかなければならないことが,企業にも政府にもあるのではないか。 中国ギョーザの例で紹介したように,問題発生時の迅速な対応,致命的な落ち度や問題の上塗りの回避,甘い対応の排除などなど,トップ・幹部にはリスクマネジメントの初歩からを学んでもらわないとならないことが多すぎる。そして,リスク対応の体制を確立できてから初めて,トレーサビリティーのシステム導入を考えるべきである。”

一般論として、システムというものは、導入したら即、悪意の行為を摘発できるものではない。この様なシステムは、社内の一部門に閉じず、幾つもの部門に跨り、社外では、国内に限らず、グローバルに取引が展開されている。企業のトップと全社を横断的に統括する当事者は、各所に内在しているリスクに対し、従来の国内での運用のスケールアップという見方で甘くなり勝ちである。リスクヘッジを考慮したシステムでも、現実は色々落とし穴が潜んでいることを覚悟し、運用しながらその都度、手を打ち、改善し育てていかなければならない。

  “さらに,こういう問題発生で注意しなければならないのは,行き過ぎた規制の強化である。最近また動き出した日本の規制強化の動きは,海外から疎外される要因となりかねない。” と行政に対し警句している。

もう一つの引用記事として:
浦嶋繁樹の「食の安全はCSR調達で管理せよ」
があった。参考になる部分を抽出すると、(引用部を“”で示す)

  “中国餃子・農薬事件のような事態が再び起きないよう、食品をどのように管理するかが問題になっている。考えてみると、日本に入ってからでは検査は難しいのではないかと思われる。この問題を、リスクマネジメントの基本から考えてみたらどうか。わたしは自社ルールの調達基準を作成し、CSR調達制度を確立することを提案したい。”とあり、 “「安全衛生」などをCSR調達基準に盛り込む;CSR調達とは、企業が自らのCSRに関する考え・基準を積極的に明らかにし、これを調達購買にまで広げ、取引先にもCSRの実行を求めることだ。サプライチェーンを考えると、積極的に取り組もうとしない企業と取引することほどリスクが大きいことはない。取引先に理解していただき、積極的に取り組んでもらうことが、一番のリスクマネジメントなのだ。”

そして、食品会社の心構えとして、自社のリスク管理が大前提であるが、以下に要約すると;

1.食品が日本に入ってからでは非常に管理しにくい。悪意を持って一時的な犯行が行われた場合は特に難しい。
2.従い、現地で管理するのだが、現地で他社を管理するのも難しい。
3.そこで、取引先の経営体制を変えることで発生頻度を下げてもらう。
4.そのためにリスクマネジメント・システムを導入していただく。
5.そうすることで、取引業者の経営品質を高め、高い業者と取引を積極に行なう。
6.ただし、その業者の不正を暴けない可能性があるし、その企業の倒産もあり得るので、取引業者は必ず2社以上とし、リスク分散を図る。
7.さらに日本でのチェック機能を保有し、BCPを前提とした危機管理体制を構築する。
    注)BCP=Business Continuity Plan

最近のJ-SOX法制定からCSR調達の気運が高まってはきたが、日本は遅すぎた感がある。そもそも、自社でリスクマネジメントが行われていない。自社で行われていないことを相手先に要求するわけにもいかないだろう。”

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