静脈資源の調達連鎖マネージメントとは?

前回のブログまでで、地球環境保全のために製造業に求められる新たな課題として、古紙偽装問題の事例を掲げ、今後の製造業は、単に製品を製造するための生産管理だけではなく、投入される原材料のプロパティとして、物質の組成・リサイクル原料(古紙配合率など)とその源流履歴、および製造過程で生成された地球温暖化・環境汚染物質の排出履歴を管理しなければならなくなってきた。そして、企業として地球環境保全・貢献に関わる組織の統治、すなわち環境ガバナビリティーを強化し、
自社の競争力を高めるとともに、社会貢献の度合いを第三者に明示し、CSRを強化しなければならない、と考えられる。それを実現するためには、どの様にして製造現場から必要とする実測データを収集し、情報システムへと中継するか、その役割を担う「FAコントローラ」は、今後、如何にあるべきかについて、述べてきた。

日経の3月27日、《経済教室》欄に、次の見出しの記事を見つけた。

リサイクル関連で続発する不祥事
「企業統治、環境の観点重要」
“営業偏重を改めよ、資材調達の構造見直しを”
 慶応大教授  細田 衛士

そこには、“かつての回収業者-問屋―製紙会社という資源調達連鎖が今弱まっている。情報の獲得・管理能力を向上させ、高品質の資源確保のためのパートナーシップを形成することが喫緊の課題である。 静岡県の某大手製紙工場では古紙配合率の偽装がなかった。 資源調達連鎖の強化で、良質な古紙獲得能力が強く、古紙ストック管理にも優れ、高い現場の技術力が組織の中で充分に生かされていることが、その理由だ。環境ガバナビリティーと、資源調達連鎖システムの構築が如何に重要かが分る。”とあった。

この記事で、私が気になることを列挙すると、

01) 静脈資源のサプライチェーンマネージメントとは?
  従来、私は、所謂、‘動脈経済’のサプライチェーンしかイメージになかった。即ち、製品を作るための材料の入手から、高品質の製品を作り、出荷し、ユーザに満足して製品寿命が尽きるまで使ってもらうというPLM(Product Lifecycle Management)に、新たに製造過程で排出される環境汚染物質の極小化管理を加えることが必要であると考えていた。しかし、これからの時代は、使用済み製品・部品・素材などを回収・収集運搬し、処理する‘静脈経済’にもサプライチェーンマネージメントを当てはめて考えなければならないことに気づかされた。即ち、企業は、資源確保を有限な地下資源から、持続可能な地上資源へ目を向け、リサイクル資源の利用率を高めなければならない。従って、これからの企業の競争力には、高品質の静脈資源を確保できる力が求められる。例えば古紙で云えば、選別度が高く異物混入の少ない良質なものを獲得する競争となる。上記の某製紙会社は、その力を付け始め、競争力で一歩まえに出たと云うことである。

02) 稀少資源の循環戦略とは?
  日本のエレクトロニクス産業では、稀少資源(金・白金・パラジュームなどのレアメタル)を輸入に頼らざるを得ない状況の中で、東アジアへ多くの電子製品を大量に輸出しており、さらに日本での使用済電気・電子機器やその部品の基板類の多くが海外に流出しており、国内での静脈資源の調達が難しくなっているという。この静脈資源を必要とする企業サイドが自ら確保するため、戦略的にサプライチェーンを強化しなければならない。稀少資源は世界で増々争奪が激化する。資源循環問題は単に、3R(リデュース、リユース、リサイクル)技術・プロセス問題ではなく、日本企業にとっては、成長著しい東アジアから資源回収が必要であり、海外企業とのパートナーシップの形成を含めた企業戦略である。

今回の内容は、私が今まで、主題としていた「FAコントローラのあり方」には直接関係していないが、貴重な静脈資源の確保の重要性を認識した。その利用効率を最大化するため、『製造現場の知恵』を支援するツールは如何にあるべきかを、考慮して行かなければならないと思った。

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