今後のFAコントローラのあり方 - Ⅱ(続)

前回の記述では、尻切れトンボの嫌いがあるので、今回も(続)として続ける事にします。

再生紙の偽装に関し、その発生と発覚のカラクリをきわめて分かり易く解説したコラムがありました。
参照:小林 隆氏(東海大学准教授)の『再生紙の「偽」は、組織の「真」の姿だった』

ここには、“偽装問題の多くは内部告発によって発覚している。インターネットが普及したことで情報の発信が容易にできるようになった。これまでは「うわさ」で片付けられていた違法行為や不祥事の証拠が、組織内の情報共有が進んだことで入手しやすくなった。そのうえ2006年4月からは、公益通報者保護法が施行されたことにより、違法行為や不祥事の通報者が解雇等の不利益な取扱を受けることから保護されるようになった。違法行為や不祥事は、ますます組織の内部に閉じなくなるだろう。”さらに、“組織は、その目的のために活動するから、目的達成のための効率性に高い価値を置く。そして経済的価値に重きをおく産業社会は、競争を原則としてきたので、組織外部に対して情報は閉じる傾向を持つ。一方で、環境問題を解決するためには、自然環境も、市場を含む社会環境も、環境を構成するすべての構成要素の有する目的や価値観に配慮しなければならない。環境の構成要素は多様な価値観を有しているので、その調整を図るために、情報を開いてお互いの価値を認知し、それぞれの価値観が尊重されるように協調しなければならない。協調には長い時間がかかるから、組織はこれを非効率とみなしてしまう。

今回の偽装問題は、市場での競争に勝つという組織の価値が、環境を保全するという全体の価値よりも尊重されたために起こった「偽」騒ぎである。しかし、この内部告発は、よく考えてみると再生紙の偽装をしている組織の「真」の姿を明らかにしたともいえる。「真」の姿が明らかになりやすいのは情報社会の特性である。

今回の環境偽装を主導した人は、再生紙の古紙とパルプの配合率の基準を達成することが困難であることが明らかになった時点で、それを社会に伝え、基準と運用の見直しのための調整を進めるべきだった。それが結果的には自分たちのリスクの回避にもつながったはずだ。認定基準に従う側も、それに従うことを求める側も、お互いの状態と価値観を伝え合い、時間がかかっても、それぞれの状態と価値を協調的に調整することが必要だった。 時間がかかることを恐れてはならない。なぜなら僕たちは持続可能な社会の構築を目指しているのだから。” とあります。本文からポイントになる行を抽出し、注目すべき部分を赤字にしました。古紙リサイクルの偽装発生のカラクリは、CO2排出抑制などの環境問題でも偽装を起こし兼ねないし、対策も類似していると思われます。

報道によると、製紙連では有識者を交え、古紙リサイクル問題を企業側と連携して取り組む作業が開始され、「需要家が製紙会社の生産工程をチェックする案」を纏めたとあります。具体的な方法は明らかにされていませんが、私の推定では、需要家(第三者)がその会社のインターネットHPを覗けば、古紙配合の生産工程の実態を確認すること出来るようにすることが、その企業のCSRとして求められるであろうし、それを率先する企業が顧客の信頼を獲得することができることと思います。企業は、お役所からの古紙の配合率表示の要求に従うだけではなく、地球環境保全にどの様に貢献できるかの視野で、日本のものづくりの知恵を最大限に活用し、自発的に実行し、社会へ透明性をもって見せることを目指さなければなりません。一方、需要家も消費生活で環境保全に自ら参加し企業との価値観を共有し、環境対策を推進する企業を賞賛する社会に進化させなければ、企業間に健全な競争原理が働く経済活動が成り立ちません。このチャレンジは、日本の官・民・企業がともに進化しなければ実現できないことであり、この文化と生産システムのモデルは、アジア地域で手本となり、世界に伝播しなければなりません。

日本は戦後、欧米流経済社会を手本に工業化に邁進し、20世紀後半で、世界第2位の経済大国までに成長しました。その急激な成長過程で環境・公害問題に直面した貴重な経験があります。日経の経済教室の記事に“今世紀、世界経済の一層のグローバル化とともに「知のルネッサンス」を通じた知識創造社会への転換が本格的に進展する。つまり、経済活動の脱国境化とともに、先進国や多くの新興国での主な経済活動が、大量生産にもとづく「ものづくり」から、広い意味でのイノベーションや知識創造活動へ移行する”とあり、今日、日本を含め東アジア地域が世界で最も高い経済成長を果たした。今世紀さらに持続成長するには、「世界の工場」から「世界の創造拠点」へ脱皮・発展する必要があると云われています。地球環境問題は、まさに環境保全を実行する知識を創造する「知のルネッサンス」であると思います。国ごとの取り組みではなく、公害経験を先行した日本が、欧米追従型から脱し、まずアジア地域で、地球環境保全社会の模範を示し、「世界の創造拠点」としてリードするチャンスであると思います。

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