『見える化』の原点を振り返る - Ⅰ

前回のブログの結論として、躍進企業は勿論、これからチャレンジしようとする企業も、「ユニーク」な、システムを求めており、FAメーカとシステムベンダーは、『見える化』のユーザニーズの原点に立ち返らなければならないと思いました。
そこで、古い話を持ち出しますが、『見える化』の原体験の話をいたします。

北欧諸国で、三菱FAコントローラ製品を手広くディラー販売しているスウェーデンの会社(BE社)があります。BE社の前社長のG氏が、最近名古屋に来訪され、歓談する機会がありました。過去の思い出話しから始まり、これからのFAコントローラのあり方についても議論しました。唐突ですが、その内容をテーマにしたいと考え、書き始めました。

まず、G氏との出会いの時代から紹介したいと思います。
G氏とは、1981年独ハノバーメッセで初めて出会いました。三菱電機のブースを訪れ、シーケンサー(PLC)を見に来てくれました。それ以来25年余り、個人的なお付き合いも含め、続いております。当時、35歳の若さで、スウェーデンのSATTコントローラ(PLCメーカ)のエンジニアから飛び出し、スウェーデンの某商社の傘下で、BE社(FA製品販売&SIベンダー)を立上げようとしておりました。それ以来ずっと社長を務め業績を伸ばし、最近会社の上場を果たしました。これを機に、60歳でBE社を退き、ベンチャーとして新しい事業に立ち向かうと云っています。

当時、彼はなぜ、SATT社を飛び出したかの理由は、彼がSATTコントローラで、顧客ボルボの要求に耳を傾け、信頼関係を築き、メイン工場の組立ラインの『見える化』システムを構築しました。しかし、当時(今もですが)、欧州ではシーメンスがこの分野で圧倒的な力を持っており、SATTでは持ち堪えられないと見ました。また、スウェーデン人は、第2次世界大戦で中立を保った国として、ボルボのスタッフ達はシーメンスの言いなりのシステムは生理的にも受け入れ難いことであったと想像します。この様な背景があり、対抗馬として東洋の三菱に関心を持ち、三菱電機ブースを訪れることになりました。この時、私も立会いましたが、欧州で羨望の的である最重要顧客のボルボから生産技術スタッフが来るとあって、三菱ブースでは大童で対応しました。数人のボルボスタッフでしたが、その中にG氏がメンバーの一人に入っていました。G氏は後で、三菱の値踏みする下心で来たと、謝っていました。

その後、BE社が発足してから暫くして、私が欧州出張の折、G氏にゲーテブルグにあるボルボ本社工場のラインへ案内されました。電気室に、CRTが取り付けられ、ミニコンとPLCが収納されたドデカイ制御盤がズラリと並び、組立ラインの動きが、セクション毎に、グラフィカルにモニターされており、吃驚しました。どうしてここまでしなければならないのかと問いますと、当時スウェーデンには、東欧諸国から、大量の出稼ぎ労働者が現場で働いており、オペレーションガイドとペースメーキングをしているとのことでした。次に、組立ラインの現場に行き、信号機のようなランプがラインの周りで点滅し、色々な人種の作業者が群がって自動車の組立を行っている様子を見学しました。

今考えると、これが、私が初めて見た、ボルボ流『見える化』の原点であったのです。当時、日本でも『トヨタカンバン方式』の話もちらほらありました。これもトヨタ流『見える化』の原点であることは云うまでもありません。しかし、両社の発想の原点は異なり、夫々が「ユニーク」であると考えます。当時、トヨタは日本人の豊富で、良質な働き手を活用し、この人たちの自主改善能力を育成し、組織的な改善サイクルのスパイラルアップを目指しました。

一方のボルボは、スェーデンは少子高齢化時代を迎え、外国からの出稼ぎ労働者を使って、如何に現場の働き手を即戦力として活用するかにあったと思います。どちらが良いかの判定は、一概に良否は決められません。その時代、その国(企業)の条件で最適な解決策を求め、「ユニーク」なシステムでなければならかったのです。

今、日本の製造業は、グローバル化時代に入り、それぞれの企業は、「ユニーク」さで、総力戦で活路を拓かなければなりません。従って、その戦略を遂行するための仕掛けとして、『見える化』は原点に立ち返らなければなりません。

独言;今年の5月に北欧諸国をツアーしました。その折、何処の空港へ行っても、色々な人種の元気の良い子供沢山の家族に出会いました。北欧では、人口減を防ぐため移民を受け入れ、平等に20歳まで教育費は無料としているとのこと。従って、北欧の若者(移民の子弟も含め)は、20歳までに卒業しなければならないので、よく勉強するそうです。きっと教育水準も上がり、民力の衰退も免れ、向上していると思われます。この様な子供達は、単純労働は嫌うでしょう。スウェーデンの製造業、次はどういう手を打つのでしょうか?

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