中小企業向け『FA-IT』ツールの要件 - Ⅰ
前回、「① 日本でしか作れないオンリーワンで勝負する」を経営理念に掲げ、グローバル化時代を生き抜こうとする中小企業の意気込みの例を示した。
今回は、これらの企業が、少子高齢化、低コストヘ流れる市場のコモディティ化など、ますます厳しい経営環境を克服していくために、ITをどのように活用していけばよいかを考えて見たい。
一般論ではあるが、我が国のIT、FAベンダーは、とかく大手顧客指向が強く、中小顧客に対してはスケールダウンのシステムで対応する傾向がある。ユーザーの立場からみると、ダブダブの服を着せられているようでしっくりしない。そこで人手頼りのガンバリズムに陥り、ITの進展の恩恵を享受できない嫌いがある。と、私はジレンマを日頃感じている。
そこで、中小企業の求めるIT活用は如何なるものであるかを、私が代弁することを試み、IT、FAベンダーがこの市場に関心を高めていただき、先行する中小企業に手を貸して頂きたい。それらの企業がグローバル化に成功することにより、それを見習う企業も漸増し、中小企業向け『FA-IT』市場も大きく形成されていくものと期待したい。
先に掲げた、元気のある中小企業の事例を参照しながら、私の想像を交え、IT化の効用を考えて見たい。彼等の企業理念をやり抜くためには、根性だけではやり遂せない。グローバル化の波はますます‘速さ’と‘広さ=広域、距離’のハンデの克服が求められる。そのための、IT活用は不可欠である。たとえ、国内の顧客をターゲットとする企業も同じ波に晒される。
そのニーズをまとめると、下記 Ⅰ)、Ⅱ)がポイントと考える。
Ⅰ)製造現場での行動の‘速さ’を支援するIT化
企業の粘り強さを担う貴重な現場の働き手を如何にサポートするか?瞬時に情報・データの共有とアイデア・スキルの「見える化」を行い、少数精鋭の現場作業者の能力を最大限に引き出す、いわば『現場作業者のスキル・ノーハウの増幅器:IT-FAツール』が必要である。
そのシステムの留意すべき要件は、
1)オンリーワンの製造では、試行錯誤の繰り返しは不可欠である、それを速い試作のPDCAサイクルを回さなければならない。ベストプラクティスを見出すのに、ビジブルに比較でき、作業者の判断を支援し、知識、スキルの成長を促すシステムが必要であろう。
2)希少価値であるベテラン作業者と若手作業者との共同作業を通じて、若手の育成と技能・暗黙知の伝承を効率的に行わなければならない。カネカのケースにあった様に、相互啓発するEUCのシステムが有効である。
但し、大企業と異なる点は、製造業務の広範な分業体制の‘広さ’を求めるツールではなく、現場作業に直接関わる少人数グループで使用する‘速さ’の利便性に重きを置くべきである。
Ⅱ)グローバルな顧客対応の‘広さ’と‘速さ’を克服するIT化
従来、中小企業は、毎日御用聞き通いをする営業方式が良しとされてきたが、今や、営業活動、プリ・アフターサポートの戦線が拡大され、自社内問題だけではなく、顧客側も、‘速さ’が間に合わない。ましてや、従来顧客もグローバル化し、海外調達もLCC(低コスト国)調達を加速させているなかで、「オンリーワン技術」を売り込むためには、海外へ追っかけて行き対応しなければならない。
このような背景で、中小企業が顧客への対応で、IT、FAベンダーへ求めているIT活用の要件を、次回の「中小企業向け『FA-IT』ツールの要件 -Ⅱ」で深堀いたします。