『グローバルな現場力』の『土台』とは?
今回から、『グローバルな現場力』へ脱皮するための方策の話に入りたいと思います。
先ず、グローバル化が進展する中で、日本の製造業、それぞれがもつ製造力をどう生かして戦うのか?独自の戦略シナリオが必要です。
例えば、
①日本国内でしか作れないオンリーワンで勝負する、
②グローバル展開を前提に、コアになるものの開発を国内で先行し、
海外製造を順次展開する、
③技術、コストを含めて、世界中で最適な場所で国際分業することを前提とする、
④消費地または納入先の近接地、需要のある国、何処へでも進出し、製造する、
等々のパターンが想定されますが、自社のグローバル経営の戦略を確りもち、全社員に浸透させ、モチベーションを高める必要があります。
そして、そのグローバル戦略の推進をサポートする『土台』として、国内の体制・体質が醸成されているか、どうかが重要です。現在、自社が運用している『国内の現場力』を、海外に移植し、根づかせて育てることができるかを、“進出を果たしている先行企業を参考に”、グローバルな視野で、点検・評価して、革新と補強すべきところを把握し、『グローバルな現場力』へ質・量ともに、脱皮しなくてはなりません。
グローバル化の先行企業の事例として、トヨタ方式を見てみましょう。
[お勧めの書籍]で、全図解『トヨタ生産工場のしくみ』を紹介しました。その中に、“トヨタ生産方式の天守閣の作り方を外国からも来て習っていくが、本当は石垣を造らなければ、天守閣はすぐ崩壊する”と述べられています。現場力の真髄は、モノづくりの方法論ではなく、「コトづくり、人づくり」にあるのです。それは強固な「石垣」に相当するものだと云われています。
私は、正直に云ってこの「石垣」なるものが、トヨタ固有の方法論的なツールなのか、あるいは普遍的な哲学なのかをはっきり理解できずにいました。
それが、たまたま時を前後して、e-F@ctoryサイトに現在BIZ-Strategy に掲載中の「”トヨタ方式”の真実と、新しい管理会計法”Jコスト論”Vol.1」を見ました。マンガティックなイラストと説明が付されているの見て、成る程と理解することが出来ました。
Vol.1と2に、走行する自動車の中に4つの歯車が噛み合って車を推進している絵が描かれています。人間性尊重、諸行無常、共存共栄、現地現物の4個の歯車(経営理念)が噛み合って走る自動車に擬え、トヨタの人づくりと社員行動の仕掛け(コト)が説明されています。会社を動かす社員により歯車は有機的に噛み合い、企業風土が醸成され、この堅固な推進土台があってこそ、社内のそれぞれの現場での活動が相互に切磋琢磨され、人が育つ仕組みなのです。また、前記の「石垣」は、単なる石ころの積み上げではなく、しっかりとした人の石組みで連結された礎が築かれております。天守閣は容易に崩壊しないと云うイメージが浮かび上がります。これが将にトヨタの経営哲学なのです。
余談ですが、前掲のブログで述べた、アジアで人気の“日本の絵解き文化”を上手く使って、外国人の教育も視野に入れて作成されていることが窺がえ、心憎いまでです。しかも、“自動車の歯車”と“石垣”は似ても似つかない喩え絵ですが、トヨタのコトづくりの真髄はピタリと、一致しているのが凄いと思いませんか?この様に、異なる「絵解き」表現でも同じ「コト」が表現できるのは、やはり普遍的な哲学の証です。
そういう意味で、自社の身の丈にあった『グローバルな現場力』への脱皮を図るために、“進出を果たしている先行企業”は 参考になるのではないでしょうか?