カネカ『鹿島DB連携』の‘コトづくり’

前回の‘コトづくり’の本質の探究に引き続き、もう一つのケースを紹介し、「コトづくり」の理解を深めたいと思います。

去る6月11日に、製造科学技術センター(MSTC)が主催する,「製造業XMLフォーラム2007」が開催され、06年度の活動成果と07年度の取組みの報告が行われました。
製造業XMLフォーラム2007 報告
 注)下記の演題の資料が、PDFで選択的にダウンロード出来ます。

この中で、特に注目して頂きたいのは、下記2点です。
鹿島DB連携ご紹介(MfgX 文書連携プロジェクト)
   根本忠和、長谷政仁(カネカ)
MfgX MESXジョイントプロジェクト活動報告
   岩津 賢(MfgX MESXジョイントプロジェクト、三菱電機)

今回の議論では、テーマ①について取り上げます。
なお、②は、生産に関わる知識構造のモデル化を提起しており、興味ある内容です、別の機会に紹介し議論したいと思います。今回、ご参考までに掲げました。

本論の①カネカのケースに入ります。
2003年、カネカ鹿島工場の『DB連携タスクフォース』が開始されました。当時、工場内には各種ドキュメントファイルが散在していました。紙ベースの日報、点検簿、各種承認記録(要認印)などは、検索・集計困難、所在不明の状態。個人のPCでは、マイドキュメントにファイルされ、他人には分らない、退職者等の老朽データは消失することもありました。共有PCフォルダーは管理あいまい、不統一で、更新バラバラ。共有DBは作成手続きが煩雑、操作ミスでデータ消失、検索不可の状態。等々、情報は溢れるほどあるが、活用できない。社員自身の情報リテラシイは上がったが、どうしたら組織集団として活用し、個々の人が知恵を出し合えるか? という何処でもありそうな混乱の中で、大きな課題に直面し、悩ましい姿でした。

それとほぼ同じ時期の2002年の後半から、(財)製造科学技術センター(MSTC)において、製造業の現場では製造機械、製造制御システム、生産・在庫管理システム、品質管理システム、設計・製造技術管理システム等々、工場運営に必要な多様なシステムと業務系の情報システムが入り乱れ、情報・知識DB群の孤島化の問題が提起されていた。それを受けて、2003年度から「製造業XML推進協議会(MfgX)」が設立され、これらのシステム間での情報・データ交換の壁を乗越える手法として、国際標準になりつつあったXML(eXtensible
Markup Language)を採用し、製造業用のXMLの標準化をはかる事業がスタートした。

その傘下で、「MfgX文書連携プロジェクト委員会」が発足し、㈱カネカからユーザメンバーとして参加されました。
その過程で、カネカ社内でも時宜を得た課題へのアプローチであると、この委員会を評価頂き、上記の様な、工場内の問題解決の先行モデルとして、『鹿島DB連携プロジェクト』が推進されました。

このプロジェクトは、鹿島全工場の取組体制でキックオフし、現在も継続し次の段階に突き進んでいます。さらに、他の工場へも、鹿島を見習って拡大されています。今回の発表で、先発したプロジェクトの具体例として、『引継ぎDB』などの開発事例が紹介されました。

その紹介の中で、「コトづくり」が「人づくり」を触発し、「ものづくり」に昇華している!と私が感銘しました点を列挙します。
1) プロジェクト方針:EUC (End User Computing)の思想で貫く、
① 工場の全員、見たい人が、見たい時に、すぐに見える・探せる。

② DBを使う工場の社員が、自らユーザインターフェースなどのソフトをつくることにした。情報スタッフは、EUCに必要なシステムインフラを整え、ユーザ社員のソフトづくりの指導とサポートの役割に徹することにした。

2) 一般的に、工場業務の報告書、技術・技能標準、検討書などは、マイクロソフト(MS)のOfficeでの作成がデファクト化されており、工場,内の随所に蓄積されている。しかし、第三者に「見える化」出来ないため、集団の知識活用を阻害していた。そこでMfgX委員会にMSメンバーも参画し、Visio、Info-pathにXMLを受入れ可能にしたこと、加えて他のシステム、DBベンダーも、さらに携帯電話も現場端末としてXML使用で統一したことが、情報交換の壁を取り払う大きな前進を促した。

3) 現在も鹿島工場で、引継ぎミーティングが開かれるが、従来と全く異なる密度の濃い議論ができる、出席に先んじて、現状の経緯、問題は既に共有しているからだ。ベテランと若手が相互に好影響を与え合う、若手はITを教え、ベテランは経験と知恵を教え合い、EUCのコンテンツを昇華させ、そのプログラムを自ら作る。それを他職場の同僚に見せて、モチベーションが高まる。他職場でもやって見ようとチャレンジが伝播する。

集団の知識・知恵のIT化は、情報部門のお仕着せではなく、携わる人達、UECで自らつくり、活用することによって、「人づくり」、「コトづくり」に大きな効果をもたらすことが実証されています。


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