麻生太郎著「とてつもない日本」を読み解く-Ⅰ
製造業に関連する視点で文化、思想、経済、社会事象などの感銘した記述を列挙し、コメントを付記します。
1)日本は、「ソートリーダー(Thought Leader)」である
アメリカを中心に使われているビジネス用語だそうで、「先駆者」という意味である。麻生流にいうと“人より先に難問にぶち当たらざるを得ない星回りに在る者のことで、アジアにおけるソートリーダは日本である”、そして“日本で直面している数々の問題は、完全に解決できないことも多いが、それでも解決しようともがき、成否を問わず自らさらけ出す。その姿自体が他国の人にとって教材となる。”とある。
これは、トヨタの製造現場のカイゼンに終わりはない、“乾いたタオルを絞り続ける”姿とダブって見える。
2)日本は環境対策のソートリーダの立場である
日本は高度成長の影に、環境破壊が深刻になり、公害後遺症が社会問題となり、そのツケに甚大な被害と出費を強いられた。他国では顕在化が遅れ、認識が甘かったが、日本は環境対策の着手が早く、ソートリーダの立場にある。しかし日本の環境対策は未だ不充分であり、もがいているのが現状である。
これは、日本の環境ビジネスが世界で話題になり始めたのは、原点がここにあったのかと思い、最近のトレンドに浮ついてビジネス化に取り付いたのではなく、大きな社会問題から根ざしているのだ、と意を強くした。
3)日本はアジアの中の経済と安全保障のビルトインスタビライザー
日本はアジアでは、最も古い民主主義国家として、平和と市場経済を自動安定させる機能を果たしている。これには、景気変動で極端な経済の暴走を抑止する仕組が機能している。アジアのなかの経済大国として、自らコントロールでき、そして98年には自国の苦境のさなか、近隣諸国の金融危機の資金援助を行い大事に至らず、回避できた。
ODAの資金援助も世界の20%を負担し、政情不安の国へ武器を一切使わず、金だけでなく、自衛隊、NPOの労力を提供し、平和と安全保障のために貢献しており、民間人の親日感と信頼を高めている。
これらは、「経済の繁栄と民主主義を通じて平和と幸福を」という理念を地道に実践した結果、勝ち得た民衆からの信頼感で、しかもアジア人が紛争対決の国境を越えた遠方から見ており、信頼を高めている。日本の製造業のグローバル化にとって、日本製品への好感と現地生産の歓迎度が上がり、好ましい親日の醸成に一役買っている、と気付いた。