FAと上位ITシステムとの情報ギャップの原体験
現在、経産省傘下の(財)製造科学技術センター(MSTC)が製造システムオープンの標準化活動を推進しています。私もプロフィールで紹介していますように学術委員として参画しています。
さかのぼって80年代後半、このMSTCの前身であった国際ロボットFAセンター(IROFA)が主宰するMAPオープンプロジェクトが行われておりました。三菱FAもこのプロジェクトに参加していました。
当時、MAPの世界標準化を推進する米国GMとも交流し、製造システム用ネットワーク“MAP” を採用したFMSバスを開発し、三菱OAコンピュータ“OfficeLand”をサーバとし、クライアントを16ビットμPのFA用セルコントローラで構成するFAコンピュータシステム“ファクトリーランド=FactoryLand” を製品化しました。そして、米国バルチモアで開催された「MAP88i」に複数のロボットを動かすFMSシステムを出展し、華々しく登場したのです。
このシステムはERPを得意とするOA用コンピュータと、製造機械設備制御を得意とするNCベースのコントローラとを組み合わせたシステムで、当時盛んに行われたFMSで、ロボットなどのセルシステム群を統合管理する自信作でした。
しかし、その結果は期待に反し、はかばかしくありませんでした。その理由は、私がPRして回った顧客のなかで、某自動車メーカの現場キーマンの発言に象徴されています。「ERPと製造現場とは、それぞれの持ち場の自主運営で行うのが基本方針で、その間の情報交換は一本の232Cでつないだパソコンで充分である」と、一蹴されました。15年以上前のことで、232Cとはいかにも古いのですが、日本の製造業の現場で培われた一種のカルチャーだと思います。
今日、現場の『見える化』は相当進んでいますが、“これは誰のための『見える化』なの?”と問うと、その答えが見えてきます。